新型コロナの死者数を少なくする方法
そもそも、新型コロナの「死者数」とは何でしょう?
普通に考えると、PCR検査などで陽性が確認された人が亡くなると、新型コロナの死者数に計上されると思うのですが、必ずしもそうではないようです。
ニューズウィーク日本版(2020/5/24)
異常に低いロシアの新型コロナウイルス致死率 陽性者が亡くなっても死因はがんなどに
今月ロシアの首都モスクワの病院で、リュボフ・カシャエバさんが74歳の生涯を閉じた。彼女は2回、新型コロナウイルスの検査で陽性反応が出ていたが、公式の死因とされたのはコロナではなく、患っていたがんだった。
カシャエバさんのように、新型コロナに感染して亡くなりながら、死因は別の理由とされた人はロシアで何千人にも上る。
カシャエバさんの場合、今年1月に末期の大腸がんと診断されたものの、化学療法を受ける予定になっていて、家族は延命に期待を抱いていた。しかし、体調が悪化して今月3日に病院に搬送されたときには、検査で両肺にコロナ症状である肺炎の進行が認められた。その後、2回のウイルス検査とも陽性反応が出た。カシャエバさんは8日に息を引き取った。
ロシアは、新型コロナの感染者数37万人に対して死者数8300人(死亡率2.2%)で、感染者数の割に死者数が非常に少ないです。(5/27時点)
新型コロナの死者数の集計方法は、国によってまちまちのようです。
BBC NEWS JAPAN (2020/4/24)
【解説】 各国の感染・死者数、比較が難しいのはなぜ? 新型ウイルス
例えばフランスは、毎日発表する人数に介護施設で亡くなった人を含めている。一方、イングランドは4月末まで、病院で死去した人数だけを発表していた(4月29日から、介護施設や自宅などでの死者数も含めるようになった)。
ドイツでは介護施設の死者については、ウイルス陽性と判定された場合に限り、数に含めている。一方ベルギーでは、疑いありと医師が診断した死者は全て、新型ウイルス関連死に含めている。
BBC NEWS JAPAN (2020/4/29)
イギリスで介護施設の死亡急増、政府は病院以外の死者数も発表へ 新型ウイルス
イギリスでは4月半ばの時点で、新型コロナウイルスのためイングランドとウェールズで死亡した人の3割が介護施設で亡くなっていることが明らかになった。国家統計局(ONS)が28日、発表した。
意図的かどうかは不明ですが、イギリスは介護施設の分を計上していなかったので、死者数が実際より3割少なかったということになります。
日本の場合は、陽性が確認されている人が亡くなった場合は漏れなく計上されていると思いますが、PCR検査の実施件数が少ないので、計上される死者数も実際より少なくなっているかもしれません。
知らないうちに新型コロナに感染して、PCR検査を受けずに亡くなった人は、どれだけ新型コロナの死者数に計上されているのでしょう?
以前、物議を醸した安倍首相の会見があります。
安倍内閣総理大臣記者会見(R2/3/28)肺炎で亡くなった方については、基本的に肺炎になって、最後はCTを必ず撮ります。
それで、CTにおいて、これは間質性肺炎の症状が出た方は必ずコロナを疑います。
必ず。そういう方については、これは必ず大体、PCRをやっておられます。
ですから、そこで間質性肺炎でない肺炎で、例えば細菌性等々の肺炎で亡くなられた方等について言えば、これはコロナではない。
ですから、コロナではなくて肺炎で亡くなったという方はコロナではないのだという説明を私は受けて、私は納得したところでございます。
日本では年間10万人近くの人が肺炎で亡くなっているので、その中には新型コロナの検査をしていない新型コロナ肺炎の人が含まれているのでは?
という話です。
安倍首相の会見によると、肺炎で亡くなった方は全員CTを撮るらしいですが、本当でしょうか?
在宅で亡くなった場合もCTを撮る?
細菌性肺炎の診断が出ている場合でも、改めてCTを撮る?
全国の病院に確認したのでしょうか?
細菌性肺炎と新型コロナの合併
や、インフルエンザと新型コロナの混合感染
という話もあるので、積極的にPCR検査をしない限り、新型コロナの死者数は実際より少なく集計される可能性があると思います。
東京都の死者数は、実際はもっと多い可能性があります。
日本経済新聞(2020/5/24)
コロナ感染死、把握漏れも 「超過死亡」200人以上か
新型コロナウイルスの感染が拡大した2月中旬から3月までに肺炎などの死亡者が東京23区内で200人以上増えた可能性がある。同じ期間に感染確認された死亡数は都全体で計16人。PCR検査で感染を確認されていないケースが潜み、把握漏れの恐れがある。
最近は、新型コロナによる血栓症も言われるようになってきました。
【合併症】
若年患者であっても脳梗塞を起こした事例が報告されており、血栓症を合併する可能性が指摘されている。
また、軽症患者として経過観察中に突然死することがあり、これも血栓症との関連が示唆される。
これも積極的にPCR検査をしない限り、新型コロナの死者数には計上されないのではないでしょうか。
変死体もほとんど検査されていないようです。
NHK政治マガジン(2020/4/26)
感染不明の遺体 検査必要も対応できず
亡くなった人の死因を調べている全国の大学の法医学教室で、新型コロナウイルスの検査が必要だと判断した場合でも対応できず、感染の有無がわからないまま遺体が遺族に返されるケースが相次いでいることがわかりました。専門家は「感染の拡大防止の点からも検査体制の整備が必要だ」と指摘しています。
日本はPCR検査の件数が少ないので、亡くなった人が新型コロナに感染しているかどうかをどれだけ積極的に調べるかで、集計される死者数が変わってくるような気がします。