新型コロナ、日本の謎の解明に繋がるか?
新型コロナウイルス感染症が重症化するメカニズムをゲノム技術で解明するそうです。
日経バイオテク(2020/5/25)
国内7大学、新型コロナの重症化因子同定へ全ゲノム解析など実施
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡者数が日本で少ない背景には、宿主側の遺伝学的な因子が影響しているのではないか――。慶應義塾大学、東京医科歯科大学、大阪大学、東京大学医科学研究所、東京工業大学、北里大学、京都大学は、2020年5月21日、共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」(研究開発代表者:金井隆典教授)を立ち上げ、遺伝学的因子の解明と粘膜ワクチンの開発を始めると発表した。
米国やイタリア、スペイン、英国などに比べて、日本や韓国、タイなどでは、COVID-19による死亡者数が比較的少数に抑えられている。日本で死亡者数が少ない理由については、医療提供体制やマスクの着用、手指衛生、社会的距離を取る慣習、ロックダウンのタイミング、ウイルス側の要因、過去の類似ウイルスの流行、ウイルス受容体の低発現、BCGワクチンの接種歴、基礎疾患の違い、常用している医薬品など、様々な指摘がされているものの、決定的なものは見つかっていないのが現状だ。
その中で、1つの可能性として注目されているのが、ヒト白血球抗原(HLA)遺伝子多型をはじめとする、宿主側の遺伝学的な因子が重症化に関わっているのではないかという仮説だ。そこで今回、タスクフォースでは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が検出され、COVID-19と診断された、国内の重症者と軽症者の遺伝学的因子を比較・解析する研究をスタートさせる。並行して、粘膜ワクチンの研究開発にも取り組む。今後、海外のコンソーシアムなどと連携することも視野に入れている。
(参考)
コロナ制圧タスクフォース
コロナ制圧タスクフォースのプレスリリース
新型コロナの死者数が欧米と日本で違い過ぎるのは「日本の謎」とか「日本の奇跡」とか言われていますが、このプロジェクトはその謎の解明に繋がるのでしょうか。
日本というよりアジアの国々ですが、新型コロナの死者数が欧米より極端に少ないです。
新型コロナ人口100万人あたりの死者数
人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【国別】
グラフの上半分に集まっているのが北米と西ヨーロッパ(ベルギー、フランス、ドイツ、オランダ、スイス)です。
グラフの下半分の国は東アジア(日本、中国、韓国、台湾)と東南アジア(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ)です。
新型コロナの死者数については、集計方法などが国によっていろいろ異なるようなので、公表されている人数を単純に比較することはできないと思いますが、それでも欧米と2桁も違うのは、何か要因がありそうな気もします。
何かアジア人の多くが持っている遺伝子があって、それがあれば新型コロナに感染しても重症化しない。
といったような事が発見されることを期待しているのですが・・
ただし、データ的な分析もいろいろやる余地がありそうな気がします。
例えば中国は、上のグラフでは3.22人ですが、死者の8割が武漢市なので、武漢市だけで計算すると約350人で欧米並みになります。
各国の感染者の年齢構成なども死者数に影響しているかもしれません。
新型コロナの死者数については、まだまだ議論が続きそうな気がします。