新型コロナ、次亜塩素酸水で政府も自治体も大混乱
新型コロナウイルスの感染対策に有効かもしれないと言われている「次亜塩素酸水」ですが、各地で混乱が生じているようです。
読売新聞(2020/6/5)
学校で次亜塩素酸水「噴霧しないで」、文科省が注意喚起
NHK NEWS WEB (2020/6/2)
静岡市が次亜塩素酸水を撤去へ
福井新聞(2020/6/5)
次亜塩素酸水の噴霧器、撤去相次ぐ コロナ消毒の効果巡り情報錯綜
岩手日報(2020/6/5)
「次亜塩素酸水」の噴霧、健康に不安 県内使用見合わせも
これらは、次亜塩素酸水の
・新型コロナウイルスへの有効性
・健康への影響
がまだよく分かっていないのが主な理由のようです。
次亜塩素酸水の噴霧についての各国当局の現時点の見解は以下の通りです。
「次亜塩素酸水」の空間噴霧について(ファクトシート)(1)WHOの見解
「COVID-19 について、噴霧や燻蒸による環境表面への消毒剤の日常的な使用は推奨されない」 とする。さらに、「消毒剤を人体に噴霧することは、いかなる状況であっても推奨されない。これ は、肉体的にも精神的にも有害である可能性があり、感染者の飛沫や接触によるウイルス感染力 を低下させることにはならない」としている。
(2)米国疾病予防管理センター(CDC)の見解
医療現場の消毒に係る一般論として「消毒剤噴霧は、空気や表面の除染のためには不十分な方 法であり」、「一般衛生管理には推奨されない」としている。
(3)中国国家衛生健康委員会の見解
新型コロナウイルス対策に係る消毒薬ガイドラインにおいて、「人がいる状態で空間・空気に対 して消毒を行うべきではない」としている。
(4)厚生労働省からの注意
社会福祉施設等において、次亜塩素酸ナトリウム液の噴霧は、「吸引すると有害であり、効果が 不確実であることから行わないこと」としている。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、次亜塩素酸水も注目されるようになりましたが、いろいろ似て非なるものが混乱に拍車をかけているようです。
政府の検討会が公開した資料には、このような記載があります。
簡単に整理するとこうなります。
巷ではどれも「次亜塩素酸水」と呼ばれている場合があるので要注意です。
1が正式な「次亜塩素酸水」です。
4の次亜塩素酸ナトリウム水は、政府も身の回りの消毒に使えることを周知していますが、目や肌に影響があるので注意が必要です。
次亜塩素酸水の殺菌効果は、次亜塩素酸ナトリウムと同等のようです。
これだけ見ると新型コロナにも有効な感じがしますが、とりあえず正式な発表を待ったほうがいいかもしれません。
以前、次亜塩素酸ナトリウムに関してこんなニュースがありました。
FNNプライムオンライン(2020/4/21)
「肺に白い影」医師も驚愕…原因はまさかの“過剰コロナ対策”
最近、中国河南省鄭州の病院に女性2人がめまいや脱力感などを訴え入院した。新型コロナウイルスへの警戒が続く中、病院はCTスキャンによる検査を行ったところ、患者の肺からすりガラス状の白い影が見つかった。それはまさに新型コロナ肺炎の特徴と一致するものだった。2人は発熱や、せき、呼吸困難などの症状がなかったため、診察を受けたのは発熱外来ではなく、一般の外来。医師らは驚き、病院内に緊張が走った。
医師がさらに詳しく事情を聞いたところ、実は患者は新型コロナウイルスを恐れ、毎日「84消毒液」という消毒剤を使って家じゅうを消毒していたことが判明した。「84消毒液」とは次亜塩素酸ナトリウムを主要成分とする、中国ではスーパーなどで売られている一般的な商品だ。
医師が患者に希釈の割合を聞いたところ、よく知らず、少し水を入れて高濃度のまま使用を続けていたことがわかった。「消毒の後、窓を開けて換気することも知らなかった」と医師はあきれ顔で話した。このため医師らは、2人の女性に対し、新型コロナウイルスではなく、長時間にわたり高濃度の「84消毒液」を吸い込んだことによる“アレルギー性肺胞炎”との診断を下した。
余談ですが、パナソニックの次亜塩素酸を使った空間除菌脱臭機「ジアイーノ」
は、価格が大変なことになっていました。
4月の中旬に値段が3倍に跳ね上がっています。
この製品は次亜塩素酸水を噴霧するものではなく、揮発させるものです。
噴霧するより安全そうですが、ウイルスに対する効果はどうなのでしょう?
いずれにせよ、次亜塩素酸水が注目されていることは間違いなさそうです。