新型コロナの感染拡大防止は、結局人出を減らすしかないのか

PCR検査を拡大して感染者を迅速に発見・隔離することで感染拡大を抑えるという戦略は、日本では難しいのでしょうか。

沖縄はギブアップしたようです。

沖縄タイムス(2020/8/8)
沖縄、100人感染でPCR対象見直し 無症状は検査せず リスク高い人を優先

沖縄県は7日、県内で新たに10歳未満から90歳以上の男女100人の新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。1日当たり最多の確認数で3桁台は初めて。玉城デニー知事は同日の記者会見で、死亡リスクの高い重症患者を確実に医療につなげる県独自の緊急措置として、PCR検査の対象範囲を見直す方針を発表。発熱などの症状が出ていない濃厚接触者の検査について全員実施をやめ、重症化リスクがある人と医療・介護従事者を優先することに決めた。

沖縄は病床利用率が100%を超えていて、病床数不足のためにPCR検査を絞らざるを得ない状況になっているようです。

7月末から検査数を急増させたことで陽性者数も急増していると思われますが、受け入れ態勢は大丈夫だと思っていたのでしょうか。



沖縄県 発生状況について

沖縄では高齢者施設のクラスターも発生しているようで、今後の状況が心配です。
琉球新報(2020/8/8)
沖縄の感染状況、クラスター情報まとめ 高齢者感染の増加が顕著 60代以上が23%

 
無症状者の発見をやめてしまった以上、感染拡大を止めるには、社会経済活動(街の人出)を制限することになるのでしょうか。
 

東京都はPCR検査を積極的に行って感染拡大を抑えようとしているようですが、まだまだ不十分だと思います。


都内の最新感染動向

陽性率がじわじわ上昇して7%にもなっているのは、検査数が足りない証拠ではないでしょうか。
 
 
PCR検査によって感染拡大を防ぐには、現状の検査数では不十分だと思いますが、実はここ数日、首都圏の感染拡大は鈍化しているようです。


第5回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(資料2-2)

7月になってから実効再生産数が明らかに低下しています。
現在はほぼ1(感染者数の増減なし)かもしれません。

東京都の受診相談窓口の相談件数も、7月末頃にピークアウトしています。


都内の最新感染動向

これはおそらく、街の人出の減少と関係がありそうです。

新宿駅周辺の人出は、7月になってから減少傾向が続いています。


株式会社agoop 新型コロナウイルス拡散における人流変化の解析

新宿以外の場所も、同様に7月になってから減少傾向です。
7月2日に東京の新規陽性者数が100人を超えて、外出を控える人が増えたことが考えられます。

先日のブログ を書いた時にはまだよく分からなかったのですが、その後の推移を見ると、やはり人出の減少と陽性者数の鈍化は関係がありそうです。

今の東京は、
陽性者数の増加によって、
自律的に行動抑制が行われて、
陽性者数の増加が鈍化している。
という状況かもしれません。

この仮説が正しければ、東京はPCR検査の数を何万も増やさなくても、感染の拡大を止めることが可能かもしれません。

でも、それでは感染拡大防止と社会経済活動の両立にはなりません。
新宿駅周辺の人出は年初の半分です。

もしかしたら、政府や自治体はそれでもいいと思っているのかもしれませんが・・

PCR検査も保健所の体制も無理に拡充しなくても何とかなりそうです。
自治体は協力金を払う必要がありません。
政府は緊急事態宣言も財政出動もしなくて済みます。

今の政府の曖昧・放置政策を見ていると、何となくそんな気がしてきます。