ワクチンパスポート導入の本当の目的は何だ?(その7)

政府はワクチンパスポートを国民の行動監視アプリにするつもりかもしれません。

FNNプライムオンライン(2021/11/28)
接種・接触・検査 1つのアプリで デジタル重点計画 素案入手

デジタル社会の実現に向けて、政府が年内の策定を目指す新たな重点計画の素案が、FNNの取材でわかった。
新型コロナ関連では、ワクチンの接種記録・接触記録・検査記録を、1つのアプリで利用できるよう、検討を行うなどとしている。
新たな重点計画の素案では、新型コロナワクチンの接種証明書のスマホアプリでの利用を、2021年中に開始することに加え、現在、バラバラの運用となっているワクチンの接種記録・接触記録・検査記録を、1つのアプリで表示できるよう、検討を行うとしている。

だんだん政府の本音が出てきたようです。
ワクチンパスポートと接触記録の統合です。

ワクチンパスポートはマイナンバーと紐づいているので、そこに接触記録を統合すると、国民一人ひとりの行動履歴や接触履歴をマイナンバーで管理することが可能になります。

誰がいつどの店に行ったとか、
誰がいつどこで誰と会ったとか、
そういったことが、政府に把握される可能性が出てきたということです。
もう中国と同じです。

 
去年導入された接触確認アプリ「COCOA」は、匿名で使うようになっていて、個人情報を気にする人でも比較的受け入れやすい仕様になっています。
でも、何カ月も不具合を放置するなど、政府は本気で運用する気がないようです。
おそらく、個人の把握ができないアプリは政府にとってメリットがないのでしょう。

 
これも関連するニュースだと思います。

JIJI.COM(2021/11/26)
ワクチン履歴照会、本人同意不要に 自治体間で確認時―政府方針

牧島かれんデジタル相は26日の記者会見で、新型コロナウイルスワクチンの接種履歴について、本人同意がなくても、自治体間で接種記録システム(VRS)による照会を認める方針を明らかにした。

今回の運用変更は、「生命、身体または財産の保護」のため、同意なしに個人情報を利用できるとした、マイナンバー法の規定が根拠という。

こうやってなし崩し的に、政府の独断で、どんどん個人情報の運用範囲が拡大されていくということです。

ちょっと気になったので、法律を見てみました。

e-gov法令検索
行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

(・・・は省略部分)
第一条
この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、
・・・
効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにする・・・

第二条
8 この法律において「特定個人情報」とは、個人番号(・・・)をその内容に含む個人情報をいう。

第十九条 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報の提供をしてはならない。
十六 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるとき。

これは、
感染対策のためなら、
本人の同意があってもなくても、
マイナンバーを含んだ個人情報を、
行政機関の間で自由にやり取りできる。

ということだと思います。

自宅隔離中の人が行方不明になったら、全国の警察に一斉に捜索願いを出す。
というようなことは、今でもできそうです。

ワクチンパスポートに接触記録が統合されると、陽性と診断された人の接触者の情報も、本人の知らないうちに、様々な行政機関でやり取りされる可能性があると思います。

陽性者の濃厚接触者の子供が通っている学校を直ちに休校にするとか、
陽性者の濃厚接触者が保健所からの呼び出しを無視したら警察官が迎えに来るとか、
そんな事も、簡単にできそうです。

さらに条文の、
「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合」
の部分は、災害や暴動、戦争などの他にも、拡大解釈すれば様々な場合に使えるかもしれません。

 
このまま日本もデジタル管理・監視社会に突入してしまうのでしょうか・・


 

ちなみに、韓国は去年の新型コロナの感染拡大初期から徹底的な行動監視を行っていました。

東京新聞(2020/4/1)
コロナ対策で浮かび上がる「監視社会」韓国 個人情報をここまでさらしてよいのか

韓国の保健当局が防疫のために公開する個人情報は、民主主義国としては異例の細かさだ。カード使用や防犯カメラなどの記録から割り出した訪問施設などを本人らの同意なしに発信する。私のスマホにも行政から1日何回も近隣で感染者が現れたとの緊急メッセージが届く。

当局が感染者の動きを捕捉できるのは、16歳以上の国民全員が持つ「住民登録証」の存在が大きい。スマホを買うのにもクレジットカードを作るのにも提示が必須で、買い物や通信、移動記録がひも付けられるため犯罪捜査などにも利用されるといわれる。国内の防犯カメラ設置数も800万台超とされ、密度ではITを駆使した監視社会で知られる中国をもしのぐ。

当初は感染拡大抑止に効果があったと言われていましたが、その後の新規感染者数はこのような状況です。


Our World in Data

韓国の専門家はこのように述べているそうです。

HANKYOREH(2021/8/27)
大韓予防医学会「現行の距離措置は限界」…K防疫2.0体制へと移行すべき

「市民の参加と協力のない防疫システムは持続不可能だ。世界最高水準のネットワークインフラと情報通信技術を用いて個人情報を保護しつつ、自発的な市民参加が可能なプラットフォームを開発することを求める」

国民を監視するようなやり方では、警戒や反発が起きて、結局上手くいかないのだと思います。

日本政府はどうするつもりなのでしょう?
 

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