日本の死亡者数に異変が起きている(その8)

厚生労働省から2021年12月の人口動態統計速報 が公表されました。

2021年1年間の日本の人口の増減はこのようになっています。


 
2021年(令和3年)の死亡者数は約145万人で、2020年より6万7745人増えました。
そして、人口は約61万人減っています。
減少数は2020年より10万人近く多いです。
日本の人口減少が加速しています。
 

前回同様、2021年の月別の死亡者数をグラフにすると、このようになります。


 
12月の死亡者数は2020年とあまり変わらないようです。
4月から続いていた死亡者数の多い状態は一段落した感じです。

また、12月の65歳以上人口に対する死亡者数の割合(死亡率)の推移は以下のようになります。
死亡率=(月別死亡者数/65歳以上人口)×100(%)


 
対高齢者人口の死亡率は、10月までのような急上昇ではありませんが、まだ増加はしているようです。

月間の死亡者数の12カ月平均は、10月以降、増加の鈍化が続いています。


 

 
1つ気付いたのですが、高齢者(65歳以上)の人口が12月から減っています。
総務省統計局 過去の各月1日現在人口 の概算値)
2021年11月1日:3640万人
2021年12月1日:3624万人
2022年1月1日:3622万人
政府が公表している高齢者人口の推計 によると、2040年頃まで高齢者人口が増続けることになっているので、一時的に減っているだけかもしれませんが、ちょっと気になります。

いずれにせよ、2021年の4月頃から9月頃までの死亡者数の急激な増加は、何か特別な要因があるはずです。

要因の1つと考えられているのが新型コロナワクチンの影響ですが、先日、厚労省のワクチンの副反応に関する分科会 で、超過死亡と新型コロナワクチンの接種数の関係についての報告があったようです。



鈴木参考人提出資料

超過死亡数の発生とワクチンの接種数は、タイミングが違うから関係ない。
ということだそうですが、どこまで検証して出した結論なのでしょう?
このレポート、結論ありきで厚労省に頼まれたのかもしれません。
「気温の急激な変化」まで持ち出して、とにかく「ワクチンは関係ない」と言いたいようです。

でも、このレポートのグラフには、かなりヒントがありそうな気がします。

まず、厚労省の人口動態統計月報(概数) の死亡者数を年代別にグラフにすると、2021年の死亡者数の大幅な増加は、ほとんどが高齢者だということが分かります。




 
とりあえず、2021年の超過死亡の検証は、高齢者(65歳以上)に絞ってもよさそうです。
そこで、レポートの65歳以上のグラフを横方向に拡大してみます。

大阪はこうなります。


 
中段の超過死亡のグラフには複数の山があります。
Aは、おそらく新型コロナ第4波の影響によるコロナ感染(隠れコロナ含む)と医療ひっ迫によるコロナ以外の死亡が多かった可能性がありそうです。
Bは、ワクチンの1回目接種のピーク付近のタイミングです。ワクチンの影響の可能性が高そうです。
Cは、ワクチンの2回目接種のピーク付近のタイミングです。ワクチンの影響の可能性が高そうです。
Dは、新型コロナ第5波の影響によるコロナ感染と医療ひっ迫によるコロナ以外の死亡が多かった可能性がありそうです。

次は東京です。


 
大阪と同様に、
Aは新型コロナ第4波の影響。
Bはワクチンの1回目接種の影響。
Cはワクチンの2回目接種の影響(超過死亡のレベルにはなっていないようですが)。
Dは新型コロナ第5波の影響。
と考えられるのではないでしょうか。

大阪はAの山が大きく、東京はDの山の期間が長いですが、それぞれ第4波と第5波の死亡者数の違いが影響している可能性があります。



NewsDigest

大阪のBの山のピークがワクチンの1回接種のピークより微妙に前になっていますが、これはワクチンの副反応の報告数のピークと同じ傾向です。


資料1-2-1 薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について

おそらく、65歳以上の中でも、より高齢の人の方が早く接種したためと思われます。
また、ワクチン接種後死亡の報告数は高齢になるほど多くなっています。


資料1-2-1 薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について

全国の超過死亡も東京、大阪と同様のパターンになっています。


 
ただし、Bは新型コロナ第4波の影響も含まれているかもしれません。


NewsDigest

AとBの山はどちらも新型コロナ第4波の影響が含まれている可能性がありますが、山が2つあるということは、片方には他の要因も含まれているということだと思います。
Bにワクチン1回目接種の影響が含まれている可能性は、かなり高そうです。

Cの山がBより低いのは、7月は新型コロナの影響が少ないのと、ワクチン接種の影響も1回目より2回目の方が少ないことが考えられます。


 

資料1-2-1 薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について

超過死亡のレベルにはなっていませんが、CとDの間にもう1つ山があるのは、ちょっと気になります。
時期は7月後半から8月上旬の頃で、新型コロナ第5波の影響もあるかもしれませんが、Dとは明らかに別の山なので、他の要因もありそうです。
ワクチンの2回目接種後の副反応の報告がそれなりにある時期なので、ワクチンの影響が気になります。
 

それにしても、感染研にはもっと突っ込んで調査してほしいものです。
何かそうできない事情があるのかもしれませんが・・

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