ウクライナ侵攻、ロシアのミサイル攻撃がエスカレート

ヤケクソになっているのか、適当な武器が在庫切れなのか、ロシアは極超音速ミサイルまで投入したようです。

JIJI.COM(2022/3/19)
ロシア軍、極超音速ミサイルを初使用 ウクライナ西部攻撃―武器貯蔵施設を破壊

ロシア国防省は19日、極超音速ミサイル「キンジャール」を18日に使用し、ウクライナ西部イワノフランコフスク州の軍事施設を破壊したと発表した。ロシア通信によると、ウクライナでの軍事作戦で極超音速ミサイルが使用されたのは初めて。

キンジャールは空中発射型で、射程は2000~3000キロ。最大速度はマッハ10とされる。プーチン大統領が2018年の年次教書演説で「理想の兵器」として公表し、ロシア軍は侵攻開始前の2月19日に発射演習を実施していた。


wikipedia "Kh-47M2 Kinzhal"

航空機から発射したらしいですが、黒海から500km位の場所を攻撃するのに、そこまで必要なのでしょうか。
もう合理性とかは関係ないのかもしれません。

国防省報道官は、ウクライナ南部オデッサ州にある軍の無線偵察施設をミサイル「バスチオン」で破壊したことも発表した。オデッサは黒海に面する南部の要衝で、ロシア軍が攻撃強化を狙っている可能性がある。

wikipedia によると、バスチオンの速度はマッハ2.5で、最大航続距離120~300kmだそうです。


wikipedia "K-300P Bastion-P"

 
今回のウクライナ侵攻でロシアが多用しているミサイルは、9K720"Iskander(イスカンデル)“です。

NDTV(2022/3/14)
The Weapon Systems At Play In The Russia-Ukraine War

ロシア・ウクライナ戦争で活躍している兵器システム
9K720 Iskander弾道ミサイル
ロシアは射程距離500kmのこの強力で正確な短距離弾道ミサイル(SRBM)を何百発も使用して、ウクライナの標的を攻撃してきました。それらの多くは住宅、病院、学校に命中して市民を殺害しています。


wikipedia "9K720"

日本のマスコミでは、ロシアの戦車部隊がウクライナ軍の抵抗に会っているとか、補給が上手くいっていないとか、何となくウクライナ側が善戦している感じを受けますが、空からのミサイル攻撃に対しては、かなり厳しい状況ではないでしょうか。

早急にミサイル迎撃システムの支援が必要と思われますが、西側諸国は揉めているようです。

JIJI.COM(2022/3/18)
米、高性能迎撃システム供与に慎重 スロバキアは代替要求―ウクライナ侵攻

オースティン米国防長官は17日、ロシアが侵攻したウクライナと接するスロバキアを訪れ、戦闘機や巡航ミサイルを迎撃する高性能地対空ミサイルシステム「S300」の対ウクライナ供与問題などを協議した。
スロバキアのナジ国防相は、記者会見で「適切に代替されればすぐ供与できる」と強調。
一方、オースティン氏は「米国ではなく北大西洋条約機構(NATO)の問題だ」と慎重な姿勢を示し、今後も調整を進めると語った。

yahoo!news(2022/3/19)
Boosting Ukraine's anti-air batteries proves easier said than done

(一部抜粋、要約)
ロシアと直接対立することなくウクライナを軍事的に支援したい米国大統領は、その都市を襲っているロシアのミサイルに対してより良い防御を提供しようとしています。
そのための理想的な兵器は、パトリオット型の移動式対空砲であり、その有効性は、近年、イラクとペルシャ湾で十分に実証されています。

しかし、パトリオットシステムがロシアの最新のミサイルに対して効果的な防御を提供できるかどうかはまだ不明です。
さらに、ウクライナの軍隊は現在、その米国のシステムを使用するための訓練を受けていません。

一方、彼らはS-300対空システムの取り扱い方法を知っています。
これらのS-300は、それらをまだ配備している旧ソビエト圏の国々、特にスロバキアとブルガリアから提供できる可能性があります。
しかし、これらの国々は依然として自国の安全をS-300に依存しており、ウクライナに渡す前に代替品を要求しています。

オランダはスロバキア中央部のスリアチ軍事基地にパトリオットバッテリーを配備すると発表し、ドイツはスロバキアで唯一のS-300バッテリーのウクライナへの移動を容易にするためにさらに2つのバッテリーを国に送ることを確認しました。
しかし、ドイツとオランダのパトリオットはすぐにスロバキアに到着することはありません-オランダは早くても4月15日に配達されると予想しています。

ウラジーミル・プーチン大統領が先月侵攻を開始する前に、ウクライナには約100個のS-300バッテリーがあり、ロシア軍は2月24日の戦争開始時に約40個を破壊したと主張している。


MISSILE THREAT "S-300"

一連の報道で分かることは、
みんな自国のリスクを高めてまで支援することはしない。
ということだと思います。
当たり前といえば、当たり前かもしれませんが。

でも、そうやってゴタゴタしている間にも、犠牲者が増え続けています。
どうにかならないものでしょうか・・

それにこの話、日本も他人事ではない気がします・・

 
<本記事の補足>
このブログを公開した直後ですが、こんなニュースが出てきました。

毎日新聞(2022/3/20)
ミサイル「キンジャル」攻撃、ロシア発表に疑義 着弾点は別地点か

ロシア国防省が19日、ウクライナ西部にあるミサイル貯蔵施設を露軍の空中発射型の新型ミサイル「キンジャル」で破壊したとの発表内容について、疑義が浮上している。同省がソーシャルメディアで公開した着弾の様子を捉えたとする動画を米メディアなどが検証したところ、撮影地点はウクライナ東部の農業地帯とみられることが明らかになった。毎日新聞も同じ手法で確認した。

こうなってくるとキンジャルを使ったかどうかも怪しいかもしれません。
もうロシア政府の発表は信用したらダメですね・・