安倍元首相の葬儀、国葬にする目的は何だ?

政府は着々と国葬の準備を進めているようです。

日本経済新聞(2022/7/20)
安倍晋三元首相の国葬、9月27日に日本武道館 政府調整

政府は銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の国葬を9月27日に都内の日本武道館で執り行う調整に入った。費用は国が全額負担する。近く閣議決定する。首相経験者の国葬は戦後、1967年の吉田茂氏以来2例目となる。
9月27日は平日の火曜日になる。学校や官公庁などは休みにしない方針だ。

国論を二分している安倍元首相の国葬ですが、何かシナリオがあるかのように着々と進めている状況には違和感を感じます。

発表されている国葬にする理由についても、あまり説得力があるとは思えません。

読売新聞(2022/7/15)
国葬、当初は「国民葬」軸に検討…首相が慎重論退ける

岸田首相が、安倍晋三・元首相の葬儀を政府主催の「国葬(国葬儀)」で実施すると決めたのは、歴代最長政権を築いた安倍氏の功績に加え、国内外から追悼の声が途切れないことを踏まえて判断したものだ。

政府内では当初、「国葬」の形式にするのは難しいとの見方があった。戦前の国葬令は1947年に失効した。67年に吉田茂氏の国葬を閣議決定で行った例はあるものの、80年に死去した大平正芳氏以降は、政府と自民党が共催する「内閣・自民党合同葬」が主流となった。

 
自民党内からも批判が出ているにもかかわらず、国葬にする本当の理由は、こういう事かもしれません。

FRIDAY DIGITAL(2022/7/19)
安倍元総理の”政治利用”では…「国葬」に自民党内からも批判噴出

「この『国葬強行』は、国葬という形で安倍さんに最大級の哀惜の念を示すことで、自民党最大派閥である安倍派(清和会)と自民党コア保守層に向けた、岸田総理のアピールでしょう。党内を”岸田一色”にしようという政治的な思惑が見えます。

しかし、「国葬を行う意味は、他にもある」と、ある閣僚経験者が言う。
「国葬をすれば、各国の要人が来日します。その要人たちと、岸田政権は『弔問外交』を展開できるのです。5月の日米首脳会談に続き、今後中国やロシアとの首脳会談に繋げられるような政治機会として、存分に有効活用するつもりなのでしょう」

こんな話もあります。

夕刊フジ(2022/7/17)
安倍元首相「国葬」が前代未聞の弔問外交に プーチン氏やバイデン氏、トランプ氏も参列!?「ロシアとウクライナの停戦、きっかけ担える可能性」

世界中から要人が集結すれば、日本は大規模な弔問外交の舞台になる。国際政治に詳しい福井県立大学の島田洋一氏は「岸田首相はG7(先進7カ国)首脳会議に続き、NATO(北大西洋条約機構)首脳会議にも参加した。自由主義圏という輪のもとで欧米諸国とアジア諸国が軍事的にも連携を強めており、その舞台が日本での弔問外交となるという見方もできる」と解説する。

ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領も安倍氏との親交が知られる。プーチン氏は安倍氏が死去した8日のうちに弔電を送っている。島田氏は「一部では安倍氏の国葬を機にロシアとウクライナの停戦を日本が仲介できるという予想もあるが、戦況次第だろう。両国にとって停戦に移ってもいいタイミングであれば1つのきっかけを担える可能性はある」とみる。

米国からはバイデン大統領の弔問が予想されるほか、海外メディアによると安倍氏と関係が深いトランプ前大統領も葬儀への参列を検討しているという。

ちなみに、トランプ氏は以前こんな事を言っていました。

産経新聞(2022/2/27)
トランプ氏、ウクライナ危機「自分なら簡単に阻止」 バイデン氏を「ばか」とこき下ろす

米国のトランプ前大統領は26日、ウクライナ情勢をめぐり、バイデン大統領がロシアのプーチン大統領に「いいようにあしらわれている」と批判し、自身が政権の座にあれば「こんな茶番を止めるのは簡単だった」と述べた。

もし、東京でプーチン・トランプ会談が実現して、ロシアの軍事作戦が終了するような事になったら、アメリカの次期大統領はトランプ氏で決まりでしょうか?

 
いずれにせよ、この機会を生かさない手はないと思います。

産経新聞(2022/7/13)
安倍元首相への弔問希望殺到 対応追われる外務省

参院選の街頭演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相への弔問を希望する各国からの連絡が殺到し、外務省が対応に追われている。
政府は各国要人らが参列できる大規模な葬儀を検討しているが、葬儀の形式や招待者の対象範囲をめぐっては「参考になる前例がない」と頭を悩ませている。

岸田さんの外交力が試されることになりそうです。

でも、もし国葬が単に保守派の人を喜ばせるだけのものだったら、納得できない国民は少なくないと思います。