時代は繰り返すか? 日本の77~80年周期説

「77年周期説」とか「80年周期説」とか言われていますが、日本では80年前後の周期で歴史的な変化が起きているようです。


日本経済新聞(2022/1/10)


TV東京 WBS(2022/8/15)

日経ビジネス(2018/10/1)
日本は80年周期の大変動、世界的にも「幕末」か

天変地異は歴史の流れに大きな影響を及ぼします。第5代気象庁長官だった高橋浩一郎氏(1913~91)は、その著書『気候変動は歴史を変える』(1994年刊、共著、丸善)のなかで、日本は80年ごとに大変動に見舞われると指摘しています。いわく、「1620年の江戸幕府の確立を起点と考えるなら、1700年は享保の改革、1780年は寛政の改革、1860年は幕末、そして1940年の戦争の時代である」というのです。

1700年以降の出来事を見ていくと、どれも財政的な問題が関係しているようです。

享保の改革(1716年~)
・幕府財政の再建が目的
・五公五民(収穫の半分を年貢として納める)
・定免法(豊凶に関わらず一定の年貢高を納める)

寛政の改革(1787年~)
・幕藩体制の立て直し、財政難の解消が目的
・倹約令の徹底
棄捐令 (天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とする)

明治維新(1868年)
・幕藩体制を打倒し明治政府を樹立
藩債処分 (天保年間以前の債務は一切継承せずに無効とした(事実上の徳政令))
新貨条例 (貨幣の基準単位を「両」から「圓(円)」に切り替え(旧1両を新1円とする))

第2次大戦終戦(1945年)
金融緊急措置令 (預貯金を封鎖、新円を発行、新円の引き出し制限)

まるで計画したように80年前後の周期で繰り返されています。
そして、どれもかなり強引な政策を実施してきたようです。

第2次大戦後に実施された預金封鎖は、以下のような内容だったようです。

毎日新聞(2016/5/9)
「預金封鎖」国民の財産を侵害

「インフレ防止の緊急令出づ けふから預金封鎖 一般引(き)出(し)を禁ず」。
1946年2月17日の毎日新聞は、前日夕に発令された金融緊急措置令を大きく伝えた。


 
概要は以下の通り。
2月17日以降、銀行などからの預貯金引き出しを制限(預金封鎖)
▽10円以上の日本銀行券(旧円)は3月2日限りで無効(それまでに使うか預金するしかない)
▽翌3日からは新しく発行した新円のみ使用可、旧円とは1人100円を限度に1対1で交換
▽勤め人の給与は月給500円まで新円で支給、残りは封鎖預金に振り込む
▽封鎖預金からの引き出しは1カ月に世帯主が300円まで、それ以外の世帯員は1人100円まで。

大卒の勤め人の初任給が400~500円だった時代、政府は国民に「インフレ抑制のため」と協力を訴えた。
大蔵省財政史室編「昭和財政史 終戦から講和まで」などによると、元々はインフレ収束より政府の借金である国債を整理する手段だった。

莫大(ばくだい)な軍事費のため、44年度末の政府債務残高(国債+借入金)は国民所得の2・6倍。46年度は歳出予算172億円中、国債費が78億円を占めた。
政府内部では資産の売却や財産税創設で資金を捻出する案のほか、債務を踏み倒すという意見まで出た。

結局、一度踏み倒すと今後、国民は国債の募集に応じなくなるとの判断から財産税で賄うと決定した。
46年3月3日時点で10万円超の財産所有者に対し、財産に応じて25~90%の課税が1回限りで行われた。徴税に際しては国民の財産を把握する必要がある。そのための預金封鎖だった。

いつの時代も政府はウソをつくようです。
政府はインフレ対策ではなく、軍事費によってできた莫大な債務の返済のために、預金封鎖と財産税の徴収を行ったようです。

財産税は預貯金だけでなく、株式や不動産から機械設備まで、様々な資産にかけたようです。


財務総合政策研究所 講演会資料(R4/5/19)「敗戦後日本の巨額の戦時国債はどのように処理されたのか」

 
このブログを書いている現在、もうすぐ2022年が終わりますが、第2次大戦が終わってから77年経過しました。
あと3年でちょうど80年です。
今の日本の状況を考えると、今後数年のうちに、日本で財政にまつわる何等かの劇的な出来事が起きても不思議ではないと思います。

東京新聞(2022/12/7)
5年間で43兆円増の防衛費、「足りないところは税」で国民負担に 自公の幹部協議会が方針確認

自民、公明両党は7日、防衛力強化に関する幹部協議会で、2023年度から27年度までの5年間で総額約43兆円となる防衛費の大幅増を巡り、歳出改革や決算剰余金などで賄えない不足分について増税で対応する方針を確認した。

朝日新聞(2022/12/19)
日銀の国債保有比率、初の5割超え 政府の借金を日銀が支える構造に

日本銀行が19日に公表した資金循環統計(速報)によると、日銀が保有する国債(国庫短期証券を除く)の割合は9月末時点で50・26%となり、初めて5割を超えた。

日銀によると9月末時点で、国債の発行残高1066兆円のうち日銀が536兆円を保有。保有割合は50・26%で、2012年末の第2次安倍内閣発足後に大規模緩和が始まる前の11・48%と比べて4倍超になっている。

日銀は黒田東彦(はるひこ)総裁の下で13年4月から大量の国債を買い入れる大規模緩和を続ける。政府が予算をまかなうため国債の発行残高を増やし、市場では日銀が政府の資金調達を事実上支える「財政ファイナンス」との批判が高まっている。

 
政府は着々と準備を進めているようです。

朝日新聞(2021/9/1)
新1万円札の実物を初披露、流通は24年度上期めど

2024年度上期をめどに市中に出回る予定の新紙幣の印刷が1日、国立印刷局東京工場(東京都北区)で始まった。

内閣府 経済・財政一体改革推進委員会(R4/12/22)
マイナンバーの利活用拡大に向けたロードマップ(令和4年12月22日)

資産情報とマイナンバーの紐付け
・預貯金口座へのマイナンバー付番を推進:口座管理法施行に向けて預金保険機構・金融機関と連携してシステム整備(~令和6年)
・固定資産へのマイナンバーの紐付けについて地方自治体等における取組を推進。原則全ての市町村において自らの住民の固定資産とマイナンバーが紐付け可能(~令和8年目途)

時代は繰り返されるのでしょうか・・