財務大臣がマイナンバーによる資産把握について発言

少子化が騒がれている今なら批判が少ないと思ったのでしょうか?

ロイター(2023/4/26)
口座ひもづけ、国民に抵抗感あるのは事実=マイナンバーで財務相

鈴木俊一財務相は26日の衆院財務金融委員会で、応能負担との関連でマイナンバー制度の活用は極めて有効な手立てだと指摘した上で、国民の間で「自分の口座を全てひもづけすることに対する抵抗感があるのも事実」との認識を示した。

前原誠司委員(国民民主)の質問に答えた。
応能負担は、所得など負担能力の違いによって税金や社会保険料の負担率が異なるという考え方。鈴木財務相は、シニア層が不動産やさまざまな金融資産を保有しているケースがあることに言及し、「基本的に応能負担してもらうのは大切なことだ」と述べた。マイナンバー活用による応能負担の推進について「その重要性や必要性を十分に示して、応能負担を進めていくことは重要なポイントだ」と語った。

この質疑はビデオライブラリの1:44:40頃~です。

衆議院財務金融委員会(2023/4/26)

 
前日にはこのような報道がありました。

Bloomberg(2023/4/25)
銀行口座のマイナンバーひも付け義務化を、公正負担へ令和臨調が提言

経済界や学界の有志からなる「令和国民会議(令和臨調)」は、25日公表した社会保障制度の改革を促す政府への提言で、マイナンバーで国民の報酬を把握できるようにするべきだとの見解を示した。公正な負担や給付の実現にはデータの整備と連携が欠かせないとしている。政府が6月をめどに策定を進める「経済財政運営の基本方針(骨太の方針)への反映を目指す。

令和臨調は、「現状の社会保障制度に対して人々が公正さや持続性に疑問や不安を感じている」と問題提起した上で、世代間・世代内の不公平を把握して公正な所得再分配を実現するには、マイナンバーを活用して多様な働き方の報酬を把握する必要があると指摘。社会保険において所得や資産の保有状況を反映した「応能負担原則」の強化が、財源の確保や持続可能な社会保障につながると主張した。

令和臨調の共同座長で三菱UFJ銀行特別顧問の平野信行氏は会見で、「現在のマイナンバーは用途が狭すぎる」と述べ、政府が国民の不安を解消するために利用効果を説明すべきだと強調。その上で、「資産や所得の把握に一番欠けているのは銀行口座への登録で、これは義務化すべきだ」との見解を示した。

 
おそらく、財務省と令和臨調は事前に示し合わせたのでしょう。

鈴木財務相:
シニア層が不動産やさまざまな金融資産を保有しているケースがあることに言及し、「基本的に応能負担してもらうのは大切なことだ」

令和臨調:
社会保険において所得や資産の保有状況を反映した「応能負担原則」の強化が、財源の確保や持続可能な社会保障につながると主張した。

 
応能負担は、所得など負担能力の違いによって税金や社会保険料の負担率が異なるという考え方。
ごもっともな考え方だとは思いますが、現実問題として、それが本当に公平・公正に実施できるのか、大いに疑問です。

不動産でも株でも、それをどう負担能力に反映させるのか、簡単ではないと思います。
資産の評価額は高いけど現金を持っていない場合は、売却して社会保険料を払う?
それが自宅だったら、自宅を売って保険料を払う?

また、富裕層になればなるほど、様々な「現金以外の資産」を持っている可能性が高いです。
しかも、資産の名義は本人とは限りません。
富裕層なら資産管理の法人を作るのが普通です。
資産の所在も日本国内とは限りません。

さらに、
貴金属、宝石、絵画、高級車、高級時計、ワイン、コイン、、、
全部評価して税金や社会保険料に反映させるのでしょうか?

資産の多い富裕層ほど、公平公正から外れていきそうな気がします。

庶民が老後のためにコツコツ積み立ててきた預金はしっかり負担に反映させる、「応能負担」という名の富裕層優遇政策のようにも思えてしまいます。

財務大臣はあえて「シニア層」と言っていますが、一度制度が導入されたら、年齢条件など後からいくらでも変えることができます。

令和臨調は本気で、
銀行口座にマイナンバーを登録すれば公平公正な応能負担が実現できる。
と思っているのでしょうか?

 
おそらく、財務省が国民の資産を把握する仕組みを構築したいのは間違いないでしょう。
そして、いろいろな理由を付けて、増税・負担増に持っていこうとしているのだと思います。

預金封鎖も気になります・・

<参考>時代は繰り返すか? 日本の77~80年周期説