能登半島地震、避難所はデジタル管理・監視社会の実験場(その2)

被災者は入浴していることも監視されるようです。

CNETJapan(2024/2/22)
石川県、無料入浴サービスに「Suica」活用--報告時の転記不要、データ分析でサービス向上

デジタル庁と石川県、防災DX官民共創協議会は2月21日、石川県能登町の「ホテルのときんぷら」における被災者向けの無料入浴サービスで、交通系ICカード「Suica」を活用すると発表した。

ホテルのときんぷらの浴場利用者に対し、シールを貼ったオリジナルSuicaを配布し、氏名や住所などの情報を紐づける。


 
従来の紙製の「無料入浴証明書」の代わりにSuicaを利用し、希望者の利用受付に加え、施設による県への報告(受付簿の転記作業)が不要となるなど、手続きの利便性向上が期待できる。また、利用状況を行政および、施設がデータとして把握・分析し、サービスの向上や見守りにつなげる。施設では年齢層の分析による入浴サービスの充実、行政では避難状況の分析による地域の入浴サービスの検討などが想定できるとしている。

ITmedia NEWS (2024/2/27)
被災地でSuicaを「入浴カード」に 受付簿への記入不要

石川県と七尾市、デジタル庁などは2月27日、七尾市内の3カ所の入浴施設で3月1日から、交通系ICカード「Suica」を、被災者向けの共通入浴カードとして利用すると発表した。紙の受付簿への記入や、職員による受付簿転記などの手間を省きつつ、利用状況を把握できるようにする。

わざわざSuicaを使わなくても、紙のカードにバーコードかQRコードを印刷しておけば、同様のことはできそうな気がします。
JR東日本からもらった18000枚のSuicaが使いきれずに、大量に余っているから?
避難所では実際に何枚のSuicaが使われているのでしょう?
 

デジタル庁 防災
令和6年能登半島地震の対応におけるデジタル技術を活用した被災者情報の把握の取組について

能登半島地震の被災地では、1次避難所から、1.5次・2次避難所への移動や、避難所以外での生活(県内外の親戚宅やご自宅、車中泊等)の開始など、被災者がより広域に移動される機会が増えています。この過程で、その居場所や個々の避難所の利用状況等の把握が難しくなってきており、改めて、被災者の方の所在や行動の適切な把握が課題となっています。

自治体は個々の被災者の入浴の状況まで把握する必要があるのでしょうか?
入浴施設の混雑状況を把握するのが目的なら、個人情報を紐づける必要はないと思います。

 
デジタル庁は災害に便乗して、とにかく国民を管理・監視する方向に持っていこうとしています。
負傷した人や高齢者などは、ある程度管理が必要かもしれませんが、健康で普通に動ける人を管理・監視する必要性がどれだけあるのかは疑問です。

それより、もっと物資や設備の管理・監視と、情報共有を強化する必要があるような気がします。

TBS NEWS DIG (2024/1/6)
能登半島地震 被災地では“物資格差”も 供給が進む中…

最大震度7を観測した能登半島地震の被災地で、自治体の指定避難所では徐々に物資の供給が進む中、指定を受けていない地元の公民館では、物資が届かない格差も生じています。

東洋経済(2024/1/15)
能登半島地震、支援者が語る「現場対応」の難しさ

七尾市のように比較的交通の便が良い場所では、支援物資も集まるようになってきているようです。珠洲市内でも大規模避難所には食料は潤沢にありました。仮設トイレの設置も進み、水洗トイレも一部にはありました。
他方、市街地から離れた地区にある避難所は事情が異なります。情報発信や避難所同士の連絡、情報共有がはうまくできていないため、物資の偏りがみられました。

東京新聞(2024/1/31)
被災者ら「避難所ガチャ」と嘆き 食事や設備、支援に格差

能登半島地震の避難所では、食事や設備に格差が生まれ始め、待遇の劣る環境で暮らす被災者にとってはストレスになっている。政府や石川県が推進する旅館やホテルへの「2次避難」を巡っても、どの施設に割り振られるか不確かな場合が多く、支援の濃淡に避難生活が左右される事態に。SNSでは、当たり外れがある状況を「避難所ガチャ」と嘆く書き込みも見られる。

物資や設備の情報が被災者にも共有されれば、偏りの解消だけでなく、役所の職員の負担軽減にもつながるのではないでしょうか。

現状は「自治体が支援物資を被災者に届ける」という意識が定着しているかもしれませんが、
状況によっては「被災者が支援物資がある所に取りに行く」という方法もあると思います。
もちろん、一度に同じ場所に被災者が集中しないようにする等、工夫が必要かもしれませんが、それこそデジタルで解決すべき事でしょう。

発電機や衛星通信設備を必要な被災者が迅速に使用できるように準備しておくことは、言うまでもありません。

デジタル庁はマイナカードで国民を管理・監視することばかり考えないで、もっと本当にデジタルで解決すべき課題に取り組んでほしいものです・・

 
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