役に立たない役所のデジタル化

デジタル庁の担当者は全国の自治体に出向した方がいいのではないでしょうか。

毎日新聞(2024/5/15)
マイナンバー情報照会 4割の手続きで利用「ゼロ」 改修に2100億円

行政機関がマイナンバーを使って個人の情報をやりとりする「情報照会」について、会計検査院が自治体などを抽出して2022年度の利用状況を分析したところ、地方税や年金給付関連など1258種類の事務手続きのうち、38・5%に当たる485種類で利用実績がなかったことが判明した。

今回の検査は、11県と435市町村など451の地方公共団体を抽出して実施された。検査院はデジタル庁や総務省など7府省庁のデータも用い、自治体などが「情報照会」可能な1429種類の事務手続きのうち、1258種類について調べた。


 
その結果、「情報照会」の利用実績がまったくなかった手続きは485種類に上った。さらに別の649の手続きでも、利用したのは調査対象団体の1割未満にとどまることが分かった。業務フローの見直しやマニュアルの作成が間に合わなかった▽書類を提出してもらった方が効率的だと認識していた――ことなどが自治体側の主な理由だという。

朝日新聞(2024/5/15)
マイナ活用、検査院「予想以上の低迷」 自治体「むしろ作業増える」


 
マイナンバーシステムが自治体の現場で機能していない実態が、15日に公表された会計検査院の調査で明らかになった。2022年度に半数以上の自治体が活用したのは1258機能のうち33機能(3%)のみ。政府が巨額を投じた行政のデジタル化策が、現場の効率化につながらず、かえって負担を増やしかねなくなっている実態が見えてきた。

 
会計検査院の報告書では、マイナンバー情報照会を使わない理由として、このような項目が上げられています。


会計検査院

項目が不足しているとか、照会ができないとか、システムの仕様を決める段階で要件の抽出が不十分だったのではないでしょうか。

まあ、よくある話だと思います。

システムを使う人:必要な作業の事は分かるが、システムの事は分からない
システムの設計者:システムの事は分かるが、必要な作業の事は分からない

お互い打ち合わせをして、システムの仕様を決めていきますが、実際に作ってみたら、非常に使いにくい物・使えない物になってしまったというケースだと思います。

そういう場合は、システムの設計者がシステムを使う人になって、必要な作業を理解するのが近道だと思います。

デジタル庁の担当者が全国の自治体に出向して、現場の職員と一緒に行政手続きの作業をしたらいいのではないでしょうか。
その場合、数カ月では足りないかもしれません。
ただ作業をやるだけではダメで、その作業の目的や背景まで理解して、要件を抽出して、どうデジタル化・効率化するかを考える必要があります。
政府・デジタル庁が本気で行政手続きのデジタル化・効率化をやるつもりなら、そこまでやった方がいいと思うのですが。

それから、デジタル庁は「行政手続きの効率化」に専念すべきだと思います。
マイナ保険証とか、マイナ免許証とか、マイナカードの民間活用とか、そんなものは二の次、三の次だと思います。
多くの国民は求めていないと思います。
保険証のオンライン資格確認は必要だと思いますが、いまだに外字で登録された文字が表示されないといった不具合があるようです。そのような課題は早急に解消する必要があるでしょう。

政府はとにかく全国民にマイナカードを持たせる、持ち歩かせることに注力していますが、そんな事は的外れだと思います。
マイナンバー制度の本来の目的である行政手続きの効率化もほとんど出来ていない状況で、いったい何のために仕事をしているのでしょう?
行政手続きの効率化によって、公務員の数が3割減ったとか、役所の待ち時間が0になったとか、具体的な効果を見せてほしいものです。