日本の年金制度はポンジスキームに向かっているのか?
今後も「現役世代の50%水準は維持される」と報道されていますが・・
読売新聞(2024/7/3)2060年度の年金、夫婦で月21万4000円に減少の試算…現役世代の50%超水準は維持
厚生労働省は3日、公的年金財政の長期見通し「財政検証」の結果を公表した。過去30年と同様の経済状況が続いた場合、2060年度に65歳世帯が受け取れる年金は、その時の現役男性の平均手取り収入の50・4%の水準で、額では月21・4万円になると試算した。24年度の61・2%、月22・6万円から低下するが、法律で定める「所得代替率50%超」は維持される。
所得代替率50%以上が維持されるためには、前提条件があります。
今回公表された財政検証では、4通りの場合について検証しています。
年金、将来見通し「改善」 ただし現状維持なら「2割減」 厚労省検証
それぞれの前提条件は、このようになっています。
人口の条件は、
出生率:中位(2070年の合計特殊出生率1.36)
死亡率:中位(2070年の平均寿命が男性85.89、女性91.94)
入国超過数(入国者数-出国者数):+16.4万人
労働力は「労働参加斬進シナリオ」以上
経済は「過去30年投影ケース」以上
これらの条件が揃った場合は、所得代替率50%以上を維持できるということですが、どうでしょう?
この中で特に怪しい気がするのが出生率です。
いったい、このグラフは何なのでしょう?
2023年度の合計特殊出生率は1.20でしたが、それが今年急ブレーキがかかって、2030年代以降は1.36前後で安定するような事が起こりえるのでしょうか?
また、労働力に関しては、20~69歳のほとんどの人が働く必要があります。
65歳になっても、70歳になっても、働かざるを得ない人は、今後さらに増えそうな気はします。
ただし、この就業者数の予測についても、人口の前提は中位推計(出生中位、死亡中位、入国超過数16.4万人)です。
ここでも出生率が大きく影響してくると思われます。
出生率が中位ではなく、低位になった場合は、こうなるそうです。
経済成長が過去30年と同程度の場合は、2055年度に所得代替率が50%を下回ることになっています。
この方が現実味がありそうな気がするのですが・・
さらに気になったのは、経済成長が過去30年よりも悪い「1人当たりゼロ成長ケース」になった場合です。
人口が中位推計でも、2059年度に積立金がなくなって、完全な賦課方式に移行するという点です。
日本の公的年金は、今でも賦課方式を基本にしていますが、一部は積立てて運用も行っています。
その積立金があと35年位でなくなってしまうかもしれません。
そうなると、もう日本の年金制度はポンジ・スキームです。
Wikipediaポンジ・スキーム
ポンジ・スキーム(英: Ponzi scheme)は、投資詐欺の一種。「出資してもらった資金を運用し、その利益を出資者に(配当金などとして)還元する」などと嘘を語り、実際には資金運用を行わず、後から参加する出資者から新たに集めたお金(の大半)を、以前からの出資者に向けて“配当金”などと偽って渡すことで、あたかも資金運用での利益を出資者に配当しているかのように装い、破綻することを前提に騙し取る手法。
少子高齢化の進行に加えて、実質賃金上昇率のマイナスが続いている現状を考えると、「1人当たりゼロ成長ケース」になる可能性は十分あると思います。
外国人労働者が大幅に増え続けるなど、年金保険料収入が大幅に増え続けるような状況にならない限り、年金制度が破綻に向かう可能性もゼロではないかもしれません。
政府は国民の負担をどんどん増やし、年金の給付水準をどんどん下げて、年金制度は破綻しないようにするかもしれませんが、庶民の年金生活が破綻するでしょう。
庶民の暮らしはどんどん厳しくなりそうです・・