今度はマイナ介護保険証への強制移行か?

マイナカードの管理は誰が責任を持つのでしょう?

日本経済新聞(2024/7/8)
紙の介護保険証廃止を検討 厚労省、マイナカードを活用

厚生労働省は介護保険サービスの利用者がもつ紙の介護保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化する方向で検討する。現在は市町村での要介護認定申請など、手続きの多くで紙の保険証を示す必要がある。政府が進める介護情報のデータ基盤整備にあわせてマイナカードの活用を進める。

8日の社会保障審議会介護保険部会で提案した。マイナカードを持っていない高齢者については、介護保険の利用者であることを記載した書類を別途交付する方向で検討する。厚労省は24年度から順次、紙の介護保険証の機能をマイナカードで使えるようにする方針を示していたが、紙の介護保険証の廃止を打ち出すのは初めてとなる。



厚生労働省 介護情報基盤について

上の資料の【現状・課題】に、このように書かれています。

介護保険法令上、65歳到達時に保険者が被保険者証を一斉送付することとされており、被保険者においては当面使用しない被保険者証を管理する負担が生じているとともに、市町村においても被保険者証の作成・郵送等の事務負担が生じている。

当面使用しない保険証を一斉送付する法律を直すべきではないでしょうか?
要介護認定の通知をする時に、保険証を送付すればいいのではないでしょうか。

ペーパーレス化を語る前に、まずは現状の法律と手続きを一から見直す方が先のような気がします。

行政機関のマイナンバーによる情報照会がほとんど役に立っていない実態が報道されましたが、まさか介護の手続きでもそんな無駄なことをやろうとしているのでしょうか?
(参考)役に立たない役所のデジタル化

 
介護情報をデジタル化して、オンラインで連携できるようにするのは必要だと思いますが、保険証をマイナカードに強制移行するのは問題だと思います。


厚生労働省 介護情報基盤について

マイナ保険証への強制移行も問題だと思いますが、マイナ介護保険証への強制移行はもっと問題だと思います。

一番の理由は、マイナカードの申請・取得・管理・更新は誰が責任を持ってやるのか?ということです。

本人が自分1人で全部、問題なくできるなら、いいです。
そうでない時はどうするのでしょうか?

現状、市区町村の職員が病院や介護施設や個人宅に出張して、手取り足取り、申請の手続きをやっている場合もあるようです。


 
個人宅への出張イメージ
福祉施設・支援団体の方向けマイナンバーカード取得・管理マニュアル

実際に何人の人がこのようなやり方でマイナカードを取得したのか分かりませんが、莫大な時間と労力とコストがかかっていると思われます。
そこまでやってマイナカードを使わせる必要がどれだけあるのか、大いに疑問です。

しかも、マイナカードは取得して終わりではありません。
なくさないように管理して(暗証番号も)、5年後に更新の手続きが必要です。

マイナカードを使う時は、カードリーダーに入れて、顔認証か暗証番号認証の操作が必要です。
寝たきりの人、手が不自由な人、目が不自由な人、大変だと思います。

介護保険でも資格確認書のような書類を交付するそうですが、それなら今の保険証をそのまま残せばいいだけです。

介護保険証を使う人は、全員介護か支援が必要な人のはずです。

マイナカードの管理は誰が責任を持つのでしょう?