トランプ前大統領暗殺未遂事件(その2)

SNSでは自作自演説がいろいろ出ているようです。

COURRiER (2024/7/15)
トランプ銃撃事件は「自作自演」─SNSに氾濫する陰謀論「ブルーアノン」とは

シークレットサービスも「グル」らしい
ドナルド・トランプ前大統領がペンシルベニア州の選挙集会で銃撃されてほどなく、ソーシャルメディアではリベラル派の陰謀論が氾濫しはじめた。

いわく、トランプの耳から流れた血は「演劇などで使われる赤いジェル」であり、この暗殺未遂は「偽旗作戦」であり、おそらくシークレットサービスがトランプ陣営と組んで「自作自演」したのだ、と。トランプが血を流しながら拳を突き上げるシーンは、「#staged」(やらせだ)とタグ付けされた。

 
以下の画像が、トランプ氏を負傷させた弾丸を撮影したものだと証明できれば、少なくとも「赤いジェル(血のり)」説は否定できそうな気がするのですが、、、

The New York Times (2024/7/14)
Our Photographer on Capturing the Bullet Streaking Past Trump

トランプ大統領の横を通り過ぎる弾丸を撮影したカメラマン
 



 
ニューヨーク・タイムズのベテランカメラマン、ダグ・ミルズ氏は、ペンシルバニア州バトラーの集会で、銃撃が始まったとき、ドナルド・J・トランプ前大統領からわずか数フィートのところにいた。ミルズ氏はシャッターボタンに指を置き、状況が進むにつれて写真を撮り続けた。後になって自分の写真を見返しているときに、前大統領暗殺未遂事件で使われた弾丸の軌道を捉えていたことに気づいた。

The New York Times (2024/7/14)
Photo Appears to Capture Path of Bullet Used in Assassination Attempt

暗殺未遂に使用された弾丸の軌跡を捉えた写真
 

 
元大統領の暗殺未遂事件となった土曜日の午後のペンシルベニア州の選挙集会を記録していたニューヨーク・タイムズのベテランカメラマン、ダグ・ミルズ氏は、ドナルド・J・トランプ前大統領の頭部を銃弾がかすめる映像を捉えたようだ。
これは、FBIに22年間勤務し、引退したFBI特別捜査官マイケル・ハリガン氏の評価だ。
「発射物による空気の変位を示している可能性は十分にある」とハリガン氏は、ミルズ氏が集会から提出した高解像度画像を確認した後、土曜夜のインタビューで述べた。「耳を通過するには角度が少し低いようだが、銃撃犯が複数発発砲したとすればあり得ない話ではない」

ミルズ氏は、1秒間に最大30フレームの画像を撮影できるソニーのデジタルカメラを使用していました。彼は、業界標準では非常に速い1/8,000秒のシャッタースピードでこれらの写真を撮影しました。

「犯人がAR-15型のライフルを撃っていた場合、彼らが使用する0.223口径または5.56ミリの弾丸は、銃口から発射されたときに約3,200フィート/秒で飛びます」とハリガン氏は述べた。「そして、シャッター速度が1/8,000秒の場合、シャッターが開いている間に弾丸は約4/10フィート飛ぶことになります。」

1フィート=30.48cm
なので、
4/10フィート=約12cm
ということになります。

上の写真の「弾丸のような軌跡」の長さは、トランプ氏の頭のサイズと比較すると、12cmより長そうな感じがします。
上の写真がシャッター速度1/8000秒で撮影された1コマで、記事の情報が正しければ、弾丸の軌跡はもっと短くなりそうですが、どうなのでしょう?

また、弾丸はトランプ氏の耳の上部を貫通したことになっていますが、写真の弾丸の高度はそれより低いように見えます。

産経新聞(2024/7/14)
トランプ氏「右耳の上部を貫通する銃弾を受けた」 SNSで事件の状況を説明

11月の米大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領(78)は13日、東部ペンシルベニア州で開いた集会での発砲事件について「右耳の上部を貫通する銃弾を受けた。大量に出血し、何が起きたか理解した」とソーシャルメディアで述べた。

「耳を通過するには角度が少し低いようだが、銃撃犯が複数発発砲したとすればあり得ない話ではない」
ということですが、そうだとすると、耳の上部を通過した弾丸はなぜ映らなかったのでしょう?

上の画像を全く信用していないわけではありませんが、どちらにしても、もう少し説明がほしい気がします。

 
ちなみに、冒頭の記事のような「陰謀論」報道でいつも思うのは、

言論の自由が保証されている社会で、陰謀論を語るのも、それを否定するのも、自由だと思います。
でも、それを明確な根拠もなく断定的に発言するのは、社会を混乱させる要因にもなり、問題だと思います。

その一方で、マスコミなどのメディアが、ただ単に「陰謀論」で片づけてしまうのもどうかと思います。
可能性がない(限りなく低い)と言えるのなら、その根拠を報道すべきだし、そうでないなら、簡単に片づけてはいけないと思います。
明確に否定できる根拠が示されれば、その「陰謀論」は自然に消滅するでしょう。

今は、映像も音声も、簡単に操作・創作できてしまう時代です。
マスコミなどの報道機関は、陰謀論もフェイクニュースも、もっと理論的・科学的な検証と、その根拠の報道に力を入れる必要があるのではないでしょうか。

さらに言えば、
政府がやろうとしている「誤情報・偽情報」の取り締まりにも関係してくると思います。

CBCnews(2024/5/3)
不正確な情報は「誤情報・偽情報」として取り締まられる!? 政府の“新政策”を知っていますか? 国民の意見募集は5月7日まで

例えばワクチンについての不正確な情報などを、「誤情報・偽情報」と位置付けて監視すると書かれ、国の姿勢と違う考えはニセや誤った情報と扱われる可能性があります。その拡散状況を普段から監視し、SNS事業者と連携するとも打ち出されていて、言論統制に繋がらないかの心配も出てきます。

情報の真偽は誰がどう判断するのか?という大問題があります。
裏金議員の責任もまともに判断できない日本政府に、正しい判断ができるのでしょうか?

いずれにせよ、情報の真偽を正しく判断し、その根拠を的確に周知する能力が、政府にも報道機関にも、求められているような気がします。