高層ビル・タワマンが地震で倒壊する可能性

建設時には想定されていなかったリスクがいろいろあるようです。

まず、「長周期地震動」と「長周期パルス」です。


BS-TBS 報道1930(2023/5/26)

週プレNEWS(2023/2/16)
文字通りの"タワマン崩壊"!? 「長周期地震動」にほとんどの建築物が無防備な理由

長周期地震動というのは、マグニチュード7以上で発生する、揺れの周期が長い地震のことだ。1回の揺れが2~20秒で、横に大きく揺れる。東日本大震災においても観測されているが、タワーマンションのような超高層建築物においてより危険が大きく、高層階ほど激しく揺れるので想定外の被害が出やすいとされている。


気象庁

Asagei+plus(2023/10/10)
高層建築物だけを激しく揺らす「特殊な地震動」が起きたら…/あなたのマンションが地震で倒壊する時(4)

「ポイントとなるのは、地震波を伝える『付加体』、建物が建っている『地盤』、そして建物が持っている『固有周期』の3つ。この3条件が揃うと、タワマンをはじめとする高層建築物の揺れは、共振によって際限なく増幅し、数分程度で倒壊に至ります

この長周期地震動は、2016年以前の高層ビルと免震建物では考慮されていないようです。


中央区耐震促進協議会


NTTファシリティーズ「長周期地震動下で想定される免震の極限事象」

週プレNEWS(2023/2/16)
文字通りの"タワマン崩壊"!? 「長周期地震動」にほとんどの建築物が無防備な理由

長周期パルスとは、3秒ほどの長周期の揺れが大きな変位を伴って一気に発生する大きな地震動のことだ。熊本地震では活断層付近で観測された。

簡単に言えば、長周期パルスでは、これまで想定していたよりも大きな揺れが突然発生するということだ。そして、やはり現状の免震や制震構造の基準では長周期パルスを想定していない。

Asagei+plus(2023/10/8)
たった十数秒でタワマンをなぎ倒す「未知のパルス」があった/あなたのマンションが地震で倒壊する時(2)

「建物の直下にある断層、ないしは地表の断層が動く、震源の浅い直下型の大地震で、周期3秒前後の長周期パルスが発生した場合、高層建築物は最初の揺れから数秒後の一撃で躯体に大損傷を受け、十数秒後には倒壊、または全壊してしまう危険性があります。この場合、長周期パルスによる建物の変位は急速かつ急激であるため、揺れを減殺する制震ダンパーもほとんど役に立たないでしょう」

 
液状化リスクのある場所では、「側方流動」の懸念もあります。

Asagei+plus(2023/10/9)
「側方流動」が起きたら万事休すという絶大な暗黒パワー/あなたのマンションが地震で倒壊する時(3)

「埋立地などに建つタワマンの表層地盤、すなわち建物の基礎杭を支える支持層の上にある砂地盤は、矢板と呼ばれる鋼鉄製の仕切り版、平たく言えば護岸によってガードされている。ところがこの護岸が強い地震動によって損傷を受けると、液状化した表層地盤が破壊箇所から海や川に向かって、勢いよく流れ出すことがわかってきたのです」

「護岸の破壊がさらに進むと、水平方向の側方流動は勢いを増し、護岸は壊滅的な破壊に至ります。この時の側方流動のパワーは絶大で、タワマンの躯体を支える基礎杭をも破壊して、地盤もろとも川や海に流出させてしまう。こうなったら万事休す。基礎杭を失ったタワマンは、根元からあっけなく倒壊します


三井住友建設

 
ちなみに、今年1月の能登半島地震で倒壊した輪島市のビルは、杭基礎のビルで倒壊した国内初の事例の可能性があるようです。

東京新聞(2024/7/1)
輪島の横倒しビルは「杭基礎」だったのに 国内初の倒壊例か、軟弱地盤でも有効な工法が…


 
元日の強い揺れで倒壊したとされるが、報告会で田村教授は、津波や地滑りの被害を除くと、杭基礎で固定された建物が倒壊したのは日本で初めての事例になる可能性が高いことを説明した。ただ、杭基礎部分がどういう経緯で破損したか詳しい原因は不明で、今後も調査を続ける。

海までの距離は400メートル弱ですが、側方流動の可能性はどうなのでしょう?

杭基礎のビルが今まで1つも倒壊しなかったのは、運がよかっただけかもしれません。