マイナンバーカードを身分証や保険証にするならカードの裏面問題を対策すべき
日本経済新聞 電子版(2019/2/13)
マイナンバーカード、全病院で保険証に 21年3月から
政府は2021年3月から原則すべての病院でマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにする。カードは制度開始から3年たっても普及率は1割にとどまる。マイナンバーカードで健康保険証を代用できるようになれば、カードを取得する人が増えると期待する。カードの普及を通じて北欧諸国などに比べて遅れるデジタル社会づくりを加速する。
政府は必至になってマイナンバーカードの活用範囲を広めようとしているようですが、こういう話が出てくる度に気になるのが、マイナンバーカードの裏面の問題です。
マイナンバーカードの表面はこんな感じで、顔写真付きの身分証明書として使えそうな内容になっています。
このカードが表面しかなければいいのですが、問題は裏面です。
マイナンバー(個人番号)がしっかり印刷されています。
個人番号は安易に他人に見せたり、教えたりしてはいけない情報ですが、その個人番号が裏に堂々と印刷されているので、運転免許証や保険証などと同じ感覚で使うのは問題があるように思います。
個人情報保護委員会というところが、「マイナンバー(個人番号)ハンドブック」というものを出していますが、
(引用元:マイナンバー(個人番号)ハンドブック
)
この中にしっかり書かれています。
「忘れないようにしてください」とか、「ご注意ください」とか、このご時世に呑気な話だと思います。
そもそも、マイナンバー法で許可された場合以外は、マイナンバーの提供を求めてはいけないことになっていますが、
身分証明書としてマイナンバーカードの提示を求めることは、間接的にマイナンバーの提供を求めていることにならないのか、気になります。
さらに、こういう決まりもあります。
「特定個人情報」という分かりにくい言葉が出てきましたが、これは「個人番号を含む個人情報」のことです。
(引用元:行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律
)
ということは、
マイナンバーカードを提示すること = 特定個人情報を提供すること
ということにはならないのでしょうか?
街のレンタルCDショップでマイナンバーカードを提示すると、マイナンバー法違反になってしまう?
なんか怪しい気がします。
政府もこの問題を分かっているのか、マイナンバーカードに「カードケース」を付属させています。
(引用元:身分証明書としての取扱いについて
)
カードケースと言ってもペラペラの袋ですが、マイナンバーカードを入れると、裏面のマイナンバーの数字が隠れるようになっています。
この資料 には、
※マイナンバーカードの交付時には、裏面の個人番号等を見えなくするカードケースが付属されています。
一般的な本人確認手続においては、カードケースに入れたままで利用することが想定されます
と書いてありますが、想定するならもっと大々的に周知が必要ではないでしょうか。
ちなみに、このカードケースには不具合があって、裏面のQRコードの部分を隠していません。
このQRコードは、個人番号をそのままQRコードにしただけのものです。
スマホのQRコードリーダーで読むと、個人番号が出てきます。
現在はこのカードケースの不具合は対策されているようです。
私がマイナンバーカードをもらったのはすでに何年か前ですが、QRコードの部分に白いシールが貼ってあります。
今は印刷されているのでしょうか。
いずれにせよ、こんな簡単な袋なので、カードをほんの数ミリずらせば個人番号が見えてしまいます。
また、何も気にしていない人は、親切心でこのケースから出して提示するかもしれません。
この問題、政府はもっと周知して対策すべきではないでしょうか。
現在ニュースになっているマイナンバーカードを健康保険証として利用するイメージはこうなっていますが、
(引用元:マイナンバーカード、全病院で保険証に 21年3月から
)
この図の感じでは、窓口の読み取り機にマイナンバーカードをかざすのは、患者が自分でやることを想定しているのかもしれません。
カードを窓口の人に提示するのではなく、自分で読み取り機にかざすようにすれば、裏面の問題はなさそうです。
ただし、患者の中には自分ではできない人もいるかもしれないので、100%の解決策にはならないと思いますが。
ちなみに、マイナンバーカードの裏面問題の対策用として、このような商品が販売されています。
身分証明書として表面だけ見せる場合には有効かもしれませんが、健康保険証のようなデータのやり取りが必要な場合は(接触、非接触どちらの場合も)、このケースから取り出す必要があるので、これも万能ではありません。