緊急事態宣言は病床不足解消の切り札か?
新型インフルエンザ等対策特別措置法の「緊急事態宣言」を出せば、病床の確保が一気に進む可能性があります。
東京都で新型コロナウイルスに感染した入院患者を受け入れ可能な病床は、現在500床確保されているようですが、すでに入院者数は394人で、このままでは病床不足になるのも時間の問題と思われます。
日経電子版(2020/3/30) 東京都、コロナ対応の病床 現在500床を確保
東京都は最大4000人分の病床を確保する計画のようですが、それだけ確保するのは簡単ではなさそうです。
NHK NEWS WEB(2020/3/27) 新型コロナ感染ピーク時 目安の病床数確保難しい現状明らかに
そこで解決の切り札になると思われるのが、新型インフルエンザ等対策特別措置法の「緊急事態宣言」です。
緊急事態宣言は都市封鎖と関連づけて語られることが多いですが、外出の自粛などは強制できません。
しかし、緊急事態宣言によって「土地等の使用」を強制できるようになります。
(土地等の使用)
第四十九条 特定都道府県知事は、当該特定都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に当たり、臨時の医療施設を開設するため、土地、家屋又は物資(以下この条及び第七十二条第一項において「土地等」という。)を使用する必要があると認めるときは、当該土地等の所有者及び占有者の同意を得て、当該土地等を使用することができる。
2 前項の場合において土地等の所有者若しくは占有者が正当な理由がないのに同意をしないとき、又は土地等の所有者若しくは占有者の所在が不明であるため同項の同意を求めることができないときは、特定都道府県知事は、臨時の医療施設を開設するため特に必要があると認めるときに限り、同項の規定にかかわらず、同意を得ないで、当該土地等を使用することができる。
臨時の医療施設を開設するために必要な時は、
土地、家屋又は物資を、
所有者の同意がなくても、
使用することができます。
先日の小池都知事と安倍首相の会談では、この「土地等の使用」の話もあったかもしれません。
NHK NEWS WEB(2020/3/26) 小池知事 安倍首相と会談 情報提供など要望
すでにメディア等で出ていますが、東京五輪の選手村「晴海フラッグ」を一時滞在施設にするという話があります。
小池都知事は先日の記者会見でこのように発言しています。
小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和2年3月27日)それから、先ほどの晴海フラッグについて、今、例えば軽症の方々のベッドをどう確保するかとか、これまでの様々な想定で、色々なケースを考えなければならないわけで、その意味で幾つかの、今、選択というか可能性のあるところはどこだろうかということを考えなければならないわけでございます。
この選手村というのは、これまでも多くの戸数といいましょうか、アスリートの皆様がお集まりいただくためにつくっていて、そして、その後売りに出したり、賃貸に出したりするわけでございますけれども、そういったことも含めて、考えられる全てのことを勘案しながら、今、様々、決められるところは決めていくという作業に入っているということです。
緊急事態宣言の事は一言も出てきませんが、おそらく想定はしているのではないでしょうか。
ちなみに、晴海フラッグの分譲住宅地区の総戸数は4145戸です。
なぜか東京都が計画している病床数とほぼ一致します。
東京以外でも、空きビルや空きマンションを臨時病棟にする話はありそうです。
緊急事態宣言を出すとか、まだ時期尚早とか、いろいろ言われていますが、今後の動向が気になります。