緊急事態宣言解除、院内感染対策は大丈夫か?

昨日の政府の専門家会議でほとんど触れられていなかった気がするのですが、大丈夫でしょうか?

病院や高齢者施設などはクラスター発生リスクが極めて高いエリアだと思います。
飲み屋の対策も重要ですが、院内感染や施設内感染の対策はそれ以上に重要な気もします。
 

昨日も院内感染や施設内感染のニュースがありました。

愛媛で17人感染、松山の病院職員・患者ら 院内感染か
「世田谷井上病院」患者ら新たに27人感染
札幌市80代女性死亡 "止まらないクラスター感染"70代と90代計4人感染
 

4月20日時点での国内の院内感染の発生は、54施設783人にのぼります。

院内感染
新型コロナウイルス感染症対策に関する日本看護協会の取り組み
 

新型コロナの死者全体の4割が院内感染または高齢者施設内感染だそうです。

毎日新聞(2020/4/15)
新型コロナ死者、2割が院内感染 高齢者施設含めると4割
院内感染・施設内感染

共同通信(2020/5/13)
介護施設で死亡全体の14% 新型コロナ、共同通信自治体調査
院内感染・施設内感染
 

アメリカの高齢者施設はもっと大変です。

NHK NEWS WEB (2020/5/11)
新型コロナ アメリカは死者の30%以上が高齢者施設

医療に関する統計をまとめているアメリカの財団によりますと、アメリカでは7日現在で、新型コロナウイルスに感染して死亡した人の38%にあたるおよそ2万5000人が高齢者施設で亡くなっています。
ニューヨーク州のクオモ知事は、10日の記者会見で高齢者施設での感染予防が「最優先の課題の1つだ」と述べ、重点的に対策をとっていく方針を改めて打ち出しました。
具体的には、感染した入居者を隔離したり、感染を予防する設備が十分でなかったりする高齢者施設は、感染した入居者を別の施設に移さなければならず、違反した場合は施設の設置許可を取り消すとしています。
また、施設の職員に対し、ウイルスの検査を必ず、週に2回行うよう新たなルールを実施するとしています。

施設の職員のウイルス検査を週2回行うそうですが、日本でも考えた方がいいのではないでしょうか。

こんな話もあります。

Newsweek日本版(2020/5/14)
無症状の医療従事者の3%が新型コロナに感染、爆発的な院内感染の予備軍か

<何らかの症状がある医療従事者だけにPCR検査を行う今の態勢のままでは推定1万5000人の感染者を見逃してしまう。全員に定期的な検査を行うべきだと、英ケンブリッジ大学が警告>

研究チームは4月6日から24日にかけて、ケンブリッジにあるアデンブルックス病院で調査を行った。その結果、イギリスが誇る国営医療サービス、NHS(国民保健サービス)のスタッフ1032人のうち3%が、無自覚のまま新型コロナウイルスに感染していることが分かった。感染が判明したスタッフの5人に1人は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の患者によくみられる症状を一切経験していなかった。

今回の調査結果を受けて、ケンブリッジ大学の研究者たちは、症状の有無に関係なく全ての医療従事者を対象とした検査を頻繁に行うべきだと提言。「症状がある人の隔離に加えて、症状のない医療従事者を対象に毎週検査を行うことで、ヒトからヒトへの感染を16~23%減らせる可能性がある」と報告書は指摘した。

医療や介護のような高リスクで影響の大きい仕事の従事者は、全員、毎週PCR検査を行うなどの対策が必要かもしれません。
PCR検査のキャパを大幅に拡大する必要はありますが、クラスターの発生を事前に防いで被害を最小にするには、その位やってもよさそうな気がします。

緊急事態宣言を解除する上で、「医療提供体制の確保」というのがありますが、院内感染が発生した場合の事はどこまで考慮されているのでしょうか?
院内感染が発生しないことが前提になっているなら、それなりの対策が必要だと思います。

防護服や消毒液などの物資の調達強化もそうですが、院内感染や施設内感染の具体的な対策に関して、専門家会議の提言でもほとんど触れられていないようなのが気になります。