新型コロナ、厚労省が実施した抗体保有調査の結果
厚労省が3都府県の約8000人で行った新型コロナの抗体保有調査の結果が出ましたが・・
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に関する検査について3都府県の実施内容
東京都 新型コロナウイルスに対する抗体保有調査の実施について
大阪府 新型コロナウイルス抗体検査への協力者募集について
宮城県内で抗体保有率調査を実施(健康推進課)
今回発表された調査結果がこれです。
どうも、この数字だけが独り歩きしているような気がします。
朝日新聞デジタル(2020/6/16)
抗体検査の陽性率発表 東京0.1%、大阪0.17%
日本経済新聞(2020/6/16)
都内の抗体保有率0.1%、海外より低水準 厚労省検査 大阪0.17%、宮城は0.03%
NHK NEWS WEB (2020/6/16)
新型コロナ抗体保有割合 東京0.1% 大半が抗体保有せず 厚労省
専門家もこの数字をそのまま真に受けたコメントをしているようですが、もっと検証が必要ではないでしょうか。
まず、検査の精度です。
東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%という数字は、ロシュ社とアボット社の2種類の方式で両方とも陽性になった場合の数字です。
ロシュとアボットの結果が異なる場合を全て無視しているので、実際の抗体保有者はもっと多い可能性があります。
東京は0.1~0.3%
大阪は0.17~0.54%
宮城は0.03~0.23%
とした方がよさそうな気がします。
また、参考値だそうですが、モコバイオ社の方式では、
東京は1.07%
大阪は1.25%
宮城は1.20%
です。
この数字はどう考えればいいのでしょう?
調査人数も気になります。
東京の陽性は2人、宮城は1人しかいなので、1人違うだけで結果が大きく変化してしまいます。
もしかしたら0%という結果が出た可能性もあるのではないでしょうか。
これでは誤差が大きすぎると思います。
調査人数をもっと増やす必要がありそうに思います。
調査対象者の偏りも気になります。
東京は板橋区、豊島区、練馬区の3つの区に限定しています。
これらの区の6/16時点の人口に対する新型コロナの感染率はこのようになっています。
板橋区 151人/57.3万人=0.026%
豊島区 161人/29万人=0.056%
練馬区 284人/74.3万人=0.038%
3区合計 596人/160.6万人=0.037%
東京都の平均的な地域として選んだのかもしれませんが、東京にはもっと感染者が多い区があります。
新宿区 531人/34.7万人=0.15%
港区 342人/26万人=0.13%
新宿区の感染率は、今回調査した3区の4倍です。
新宿区で同じ抗体検査を行ったら0.4%になるかもしれません。
モコバイオ社の場合は4%以上です。
同じ東京でも地域や検査方式によって結果がかなり違ってくるのに、「東京は0.1%」と言い切るのはどうかと思います。
また、上記のNHK NEW WEBの記事に海外の抗体検査の結果が書かれていますが、
アメリカの東部ニューヨーク州は12.3%
スウェーデンの首都ストックホルムは7.3%
イギリスのイングランドは6.78%
だそうです。
これらはどのような検査方式を使ったのか分かりませんが、新宿区や港区でモコバイオを使うとあまり変わらない結果になるかもしれません。
抗体検査はまだ開発途上だと思います。
検査のやり方によって結果が何倍にも変わってしまうので、数字は慎重に見る必要があると思います。