新型コロナ、変異株の対策が中途半端すぎる

今の中途半端な対策では医療崩壊を早めるだけのような気がしますが・・

新型コロナ変異株の感染者が増えています。

NHK NEWS WEB (2021/3/24)
変異ウイルス 1週間で150人の感染確認 前の週に比べ17%増

イギリスや南アフリカなどで広がっている変異した新型コロナウイルスに、23日までの1週間で150人が感染していたことが新たに確認されました。前の週から2割近く増えています。


 
政府の水際対策の失敗によって変異株が着実に広がっているようですが、判明しているのは実際のごく一部と思われます。

東京新聞(2021/3/20)
政府、変異株検査40%の壁に直面 民間への依頼に限界

感染力が高いとされる新型コロナウイルスの変異株。政府はコロナ感染者の5~10%に実施している変異株PCR検査を40%程度に引き上げる方針を打ち出した。

現状、神戸市のようにコロナ陽性者の6割を検査している自治体もありますが、ほとんどの自治体は5~10%程度のようです。

東京都の変異株の検査数はこのような状況です。


東京 i CDCにおける変異株スクリーニングの状況について(第1848報)

東京都の変異株の陽性率を計算してみると、こんな感じです。

3/1-3/7: 3/175×100 = 1.71%
3/8-3/14: 3/204×100 = 1.47%
3/15-3/21: 5/129×100 = 3.88%

この陽性率で考えると、新型コロナ陽性者が300人確認された日は、その中の10人位が変異株に感染している可能性も否定できないと思います。

現在発表されている各都道府県の変異株の陽性者数は、実態とかけ離れている可能性があります。

 
変異株で気になるのは、陽性者の対応です。
厚労省は自治体向けの事務連絡 で、このような通知をしています。


 

 

 
変異株の感染が確認された人は、全員個室に入院して、退院はPCR検査の2回連続陰性が必要になっていますが、全員このルールを守っているのでしょうか?

今は何とか守れていたとしても、陽性者が増えたら破綻するのは容易に予想できます。

このルールは、
「変異株は感染力が強い可能性が報告されているから」
というのが理由のようですが、それより、南アやブラジルの変異株で言われている「免疫逃避」が気になります。

(参考)国立感染症研究所
感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株について (第7報)

南アフリカでは11月以降にウイルスゲノム解析された検体の90%以上が501Y.V2であった。
501Y.V2は、感染性の変化に最も影響を与えうると考えられるN501Y変異と免疫逃避との関連が指摘されているE484K変異を持ち合わせている。

2021年1月6日、国立感染症研究所は、1月2日にブラジルから到着した渡航者4名から新型コロナウイルスの新規変異株を検出した。当該新規変異株は、Nextstrain clade 20J/501Y.V3, P.1系統に属する。
非501Y.V3株に比べて1.4倍から2.2倍伝播しやすく、既感染による免疫を25-61%回避可能であるとの解析結果がある。

ブラジルでも、12月15日か23日にかけてマナウスで採取されたSARS-CoVs-2 PCR陽性検体31検体のうち42% (13/31)が501Y.V3だった(40)。マナウスでは、10月までに75%の人口が既に感染していたと推定される状況下で、12月中旬に再度患者の増加が見られたため、本変異株の検出は、感染性の増加や再感染を起こさせる可能性が懸念されている。

一度新型コロナに感染して抗体を持っている人でも、この変異株には感染する可能性が懸念されています。
ということは、
病院では従来株の人とこの変異株の人を完全に分ける必要があるのではないでしょうか?

現状、変異株の感染を確認していない感染者は従来株と同じ扱いだと思うので、従来株の感染者と同じ部屋に入院する可能性があると思います。
もしその人が南アやブラジルの株に感染していたら、従来株の人に再感染させてしまう可能性があるのではないでしょうか?

現状、従来株に感染して入院している人は、PCR検査をせずに退院できるようになっています。


厚労省通知(R2/6/25)

入院中に変異株に感染(再感染)しても、症状がなければそのまま退院して、自宅に変異株を持って帰る可能性があるかもしれません。

変異株の検査を全員行って、株別に部屋を分ける必要があるのではないでしょうか。

今はコロナ陽性者の5%とか10%だけ検査して、その中で変異株が見つかった人だけに厳しい入院のルールを設けていますが、あまりにも中途半端だと思います。
40%に増やしても、根本的な解決にはなりません。

こんな話もあります。

CNN.co.jp(2021/3/12)
異なる2つの変異株に同時感染、ブラジルの研究で2例確認

ブラジルの研究者らは、新型コロナウイルスの異なる2種類の変異株に同時に感染したケースを2例特定した。新たな研究で明らかになった。
このうち1人から検出された2つの変異株は、パンデミック(世界的大流行)以降にブラジル国内で流行していたもの。もう1人は従来型のウイルスのほか、リオデジャネイロで最初に確認された「P2」と呼ばれる変異株に重感染していた。

感染した株が特定できてない新型コロナの入院患者は、患者同士が感染しないような対策が必要と思われます。

 
最近はフィリピン型の変異株も入ってきているようです。

(参考)国立感染症研究所(2021/3/12)
フィリピンからの入国者から検出された 新型コロナウイルスの新規変異株について

国立感染症研究所は、2月25日にフィリピンから入国した者から501Y.V2株、501Y.V3株と同様にE484K, N501Yの変異を有するB.1.1.28系統株(系統名称未確定)を検出した(ウイルス名: hCoV-19/Japan/IC-0824/2021, GISAIDアクセスID: EPI_ISL_1198832) 。


 
南ア株やブラジル株と同様の感染性と免疫逃避性がありそうです。

フィリピンの新型コロナ感染者が最近急激に増加しているのも気になります。


WHO Coronavirus (COVID-19) Dashboard

 
変異株も種類がどんどん増えてきていますが、検査も対策も全く追いついていない状況だと思います。

早急に全員検査を行う体制を整えると同時に、科学的知見を得て自宅療養や宿泊療養を安全にできるようにしないと、また病院が大変な事になりそうな気がします。