新型コロナ変異株、スクリーニング検査の大問題

今のスクリーニング検査では、いくら数を増やしても変異株の実態は分かりません。

NHK NEWS WEB (2021/4/2)
異なるタイプの変異ウイルス 東京の病院で3分の1から検出

イギリスや南アフリカなどで広がったものとは異なるタイプの変異した新型コロナウイルスが東京医科歯科大学附属病院で感染が確認された患者のうちの3分の1から検出されたことが分かりました。

大学によりますと、先月末までの2か月間では抗体の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があるウイルスが検査ができた患者36人中、3分の1にあたる12人から検出され、先月だけに限ると14人中の71%にあたる10人から検出されたということです。

東京都の小池知事は、都内で確認されている変異した新型コロナウイルスについて、「東京では、大阪で確認されている『N501Y』の広がりは確認されておらず、『E484K』株が約半数を占めているのが現状だ。

今回、報告されたのは「N501Y」は無いものの「E484K」がある変異ウイルスです。

現在、全国の自治体で行われている変異株のスクリーニングは「N501Y」の変異を見つけ出すもので「E484K」を見つけるためには遺伝情報を詳しく解析する必要があります。

 
東京では「N501Y変異がないE484K変異株」が流行している可能性が出てきたようです。

実は、この「N501Y変異がないE484K変異株」は、現在自治体で行っている変異株のスクリーニング検査では検出することができません。


厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応」

今のスクリーニング検査では、いくら数を増やしても「N501Y変異がないE484K変異株」の実態は分かりません。

厚労省の資料 に、
「N501Yの変異はないがE484Kの変異がある変異株」を、3/25時点、我が国では、1,161例(国内1,156件、検疫5件)確認している。
と書かれています。
これは感染研などでゲノム解析によって確認した数だと思いますが、N501Y変異株(英国、南ア、ブラジル)の国内確認数が678例(3/30時点)なので、その2倍近い数です。

すでに市中で「N501Y変異がないE484K変異株」がまん延しているかもしれません。

特に東京は、以前から変異株の確認数が異常に少ないと言われています。

4/2時点の東京都の変異株の数は、
国の変異株確定例=18
東京都の変異株確認例=80
となっています。

ここでも国と都で違う数字になっていますが、
国の数字は、スクリーニング陽性の内ゲノム解析を行った6例とスクリーニングなしの12例の合計
都の数字は、スクリーニング陽性の68例とスクリーニングなしの12例の合計
で、それぞれ内容が違っているのが理由のようです。



東京 i CDCにおける変異株スクリーニングの状況について(第1890報)

国と都の不整合はいい加減にしてもらいたいですが、いずれも「N501Y変異がないE484K変異株」は含まれていません。

早急にE484K変異のスクリーニングも行って、「N501Y変異がないE484K変異株」の特性を把握する必要があると思います。

免疫やワクチンの効果を低下させるのであれば、再感染の対策やワクチンの有効性の確認が必要だと思います。

 
N501Y変異は感染性を増しているとか、E484K変異は免疫を低下させるといった特徴は、全て海外から入ってきた知見だと思いますが、
もしかして、「N501Y変異がないE484K変異株」の知見も海外から入ってくるのを待っているのでしょうか?