新型コロナ、成人の9割に抗体があっても感染拡大が止まらない
イギリスでは成人人口の9割が新型コロナの抗体を持っていると推定されているようです。
Coronavirus (COVID-19) Infection Survey, antibody and vaccination data, UK: 7 July 2021(Google翻訳)
イギリスでは、成人の10人に約9人、つまり成人人口の89.8%(95%の信頼区間:88.2%から91.3%)が、コロナウイルス(COVID-19)に対する抗体の検査で陽性であったと推定されています。
2021年6月14日から始まる週の血液検査で、過去に感染したか、ワクチン接種を受けたことがあることを示唆しています。
抗体検査で陽性になった人は、過去に新型コロナに感染した人か、ワクチンを1回以上接種した人です。
未成年の抗体保有者も含めると、おそらく全人口の7割以上の人が抗体を持っていると思われます。
ワクチンの接種は、18歳以上の8割以上が1回接種、6割以上が2回接種しています。
Vaccinations in United Kingdom
それでも感染の拡大は続いています。
去年の第2波の立ち上がりの時は、新規感染者数の上昇に続いて入院患者と死者が増加しましたが、今回はどうなるかが注目されます。
現状はワクチンの効果で入院者数と死者数が抑えられていると言われていますが、デルタ株の影響や、ワクチン効果と言われているものがいつまで続くかなど、予断は許さないと思います。
イギリスでは7月19日からマスクの着用義務などの制限の緩和が予定されていて、それによる感染拡大も懸念されています。
ニューズウィーク日本版(2021/7/14)
イギリスの危ない実験「感染ピークは6週間続き、1日1千~2千人の入院で医療が逼迫」、最悪11万5800人が死ぬ
英政府が7月19日からコロナの法的規制をほぼ全面解除する前提となった予測モデルについて、非常時科学諮問委員会(SAGE)パンデミック・モデリング・グループ議長のグレアム・メドレー・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)教授が13日、英BBC放送のラジオ番組で「1日の入院患者が2千人を超えることはないものの、ピークは6週間続き、医療が逼迫する恐れがある」と証言した。
最も起こりうるモデルで入院患者のピークは1日1千~2千人、死者は100~200人と予測。それが6週間続くと単純計算で入院患者は計4万2千~8万4千人、死者は4200~8400人にのぼる。
こんな話もあります。
BUSINESS INSIDER (2021/7/12)
米専門家、ワクチン接種済みの人がデルタ株の拡大を助けていることは「疑いようがない」
ワクチン接種を済ませた人の中には、ウイルスに感染し、頭痛や鼻水といった風邪のような比較的軽い症状を見せる人もいるし、感染しても自覚症状が一切なく、“サイレント・ スプレッダー(無症状のままウイルスをまき散らす人)“になる人もいる。
スコットランドでは、人口の半数以上が2度のワクチン接種を済ませていて、71%は少なくとも1度目のワクチン接種を受けている。ところが、スコットランドは現在、最悪の感染状況に陥っている。
「ワクチン接種率の高さを考えると、(接種を済ませた人が)感染を拡大させる役割を果たしていないと、スコットランドにおける爆発的な流行を説明できません」
以前から言われていますが、ワクチンに「感染予防効果を期待してはいけない」ということが現実化しているのかもしれません。
ワクチンの「感染予防効果」は、勘違いしている人が結構いそうなので要注意だと思います。(政府やマスコミが正しく伝わるように報道しないのが問題だと思いますが)
ワクチンの接種が進めば進むほど、無症状感染者が増えて、その中から発症する人も出てきて、なかなか感染が収束しない可能性もあります。
ワクチン接種済みの無症状感染者がワクチン未接種の人に感染させるケースも増えるかもしれません。(特に、ワクチンを接種して安心しきっている人、無敵だと思っている人は要注意です)
無症状感染者の中で新たな変異株が生まれるかもしれません。
そして、ある時、ワクチンが効かない株が大流行するかもしれません。
ちなみに、アメリカはCDCがワクチン接種済みで症状のない人は検査の対象外にしています。
(参考)Interim Public Health Recommendations for Fully Vaccinated People
アメリカの感染者数がイギリスのように増えていないのは、無症状の人を検査しないようにしたのが影響しているかもしれません。
とりあえず、ワクチン先進国の欧米の動向には要注目だと思います。