消えたワクチン問題

ワクチンの在庫のことで、国と自治体が揉めているようですが・・

東海テレビ(2021/7/16)
国「自治体に在庫ある」自治体「余ってない」…ワクチン接種の進捗めぐり両者に“ギャップ” 戸惑いの声も

新型コロナワクチンをめぐり、国と自治体の間で言い分に食い違いが生じています。「自治体のワクチンに『在庫』がある」とする国に対し、「余っていない」と自治体は反論しています

こんな事は供給数と接種数と在庫数がしっかり管理されていれば、すぐに原因が分かりそうな気もしますが、きっと管理できていないのでしょう。

 
とりあえず、政府が公開しているファイザー製ワクチンの供給数と接種回数をエクセルで集計してみました。

使用したデータはこれです。
ファイザー社の新型コロナワクチンの供給の見通し
ファイザー社ワクチンの配送スケジュール(令和3年6月3日時点)
新型コロナワクチンについて 日別の実績
新型コロナワクチンの接種実績
 

ファイザー製ワクチンの7月15日までのデータですが、1回目と2回目を合わせた接種回数の累計は約6400万回で、それに対して国から供給されたワクチンは約1億200万回分です。

単純に引き算すると、その差は3800万回分です。

1回目接種累計×2=約7800万回
なので、
7800万回-6400万回=1400万回分
が2回目接種用に確保されていると推定することができます。

つまり、
供給数-接種数-2回目用確保数=約2400万回分
(上のグラフの赤線と緑線の差)
が在庫として自治体や医療機関等に存在しているので、1日100万回接種しても20日分以上あるはず。
ということになりますが、おそらく、現実はそうならないような気がします。

1つは、大規模病院から町のクリニックまで、全国津々浦々にワクチンが行きわたっていることを考えると、少数の在庫が全国の医療機関に散在している可能性があります。
「ちりも積もれば山となる」です。
接種する人があまりいない医療機関だと、使われない在庫になってしまう可能性があります。

もう1つは、ワクチンの廃棄です。
毎日のようにワクチンを廃棄したというニュースがありますが、それ以外に公表されていない廃棄もかなりあるのではないでしょうか。
ファイザーのワクチンは1瓶で接種6回分なので、接種人数が6の倍数にならない場合は、余った分は廃棄されてしまいます。
町のクリニックで1日に数10人しか接種しないような所では、1割位の廃棄が出ても不思議ではありません。

また、気になったのは、廃棄した数の登録がバイアル単位になっていることです。


V-SYSへの接種実績の登録

バイアル1本を丸ごと廃棄した場合だけ登録するようになっています。
バイアルを開けて、1回だけ接種して5回分廃棄した時は、記録に残りません。
これでは何回分廃棄されたか分かりません。
廃棄した本数ではなく、回数にすべきだと思いますが。

この「記録に残らない廃棄」も含めて、廃棄されるワクチンは結構あるのではないでしょうか。

いずれにせよ、まずは在庫の棚卸をすべきでしょう。
そして、供給数、接種数、廃棄数、在庫数を正確に管理する必要があると思います。

このままでは数千万回分のワクチンが消えてしまうかもしれません。
1回分1000円だとしても、数100億円の税金です。