新型コロナ、ワクチン効果の低下が明確になってきた
イギリス健康安全保障局(UKHSA)が公開しているデータを見ると、ワクチンの効果が時間の経過と共に低下していることが分かります。
UKHSAは、イギリスの新型コロナの感染状況に関するデータを毎週公開しています。
COVID-19 vaccine surveillance reports (weeks 19 to 38)
COVID-19 vaccine weekly surveillance reports (weeks 39 to 43)
week36(9月9日公開)のレポート以降、人口10万人あたりのデータが掲載されるようになりました。
UKHSA COVID-19 vaccine surveillance report Week43
これはweek43(10/28公開)のレポートに掲載されているweek39~42(9/26の週から4週間)のデータですが、人口10万人あたりの新型コロナの感染者数、救急患者数、死者数がそれぞれワクチン2回接種者と未接種者に分けて出ています。
人口10万人あたりのデータに揃えてあるので、比較検討するのにとても便利です。
このような分かりやすいデータを毎週公開しているUKHSAは素晴らしいと思います。
日本の厚労省も少しは見習ってほしいものですが、それはそれとして、
毎週公開されているデータを時系列に並べて、グラフにしてみました。
以下は人口10万人あたりのワクチン2回接種者と未接種者の新型コロナの感染者数の推移です。
ワクチン2回接種のグラフを見ると、Week36-39以降(9月以降)あたりから、どの年代も感染者数が増加しているのが分かります。
一方、ワクチン未接種の方は、18歳未満を除いてあまり増加していません。
イギリスの新規感染者数は、9月の中旬に一旦減少して、その後増加していますが、この9月中旬以降の増加はほとんどがワクチン2回接種者か18歳未満と思われます。
18歳未満は学校で一斉検査をやったりしているかもしれないので、とりあえずここでは無視しておきます。
いずれにせよ、イギリスではワクチンの感染予防効果がかなり低下していることが考えられます。
また、上の2つのグラフを重ねると、ワクチン2回接種と未接種で感染者数の逆転現象が起きていることも分かります。
30代はWeek36-39の時に2回接種者と未接種者の逆転が起きています。
40~70代はすでに7月以前から逆転していたようです。
80代以上はWeek34-37で逆転しています。
ワクチン2回接種者と未接種者では、環境や意識が違う可能性があるので、このデータを直接比較するのは適切ではない可能性はありますが、この時間経過に伴う感染者数の変化を見ると、ワクチン効果が日々低下していることは間違いないと思います。
そして、時間経過と共に、ワクチン接種者の方が未接種者より感染しやすくなる可能性も否定できないと思います。
次は救急患者(emergency care)の数です。
Week37-40(9/12の週から4週間)を境に減少から増加に転じていますが、これは新規感染者数の増減に連動した動きだと思われます。
注目すべきは、患者数が減少から増加に転じた後、ワクチン2回接種の方は、前回のピークを超えて増加していることです。
ワクチン未接種の方は、増加はしていますが、まだ前回のピークより少ない状態です。
救急患者に関しても、ワクチン効果の低下の影響が出ている可能性があります。
ワクチン2回接種者より未接種者の方が救急患者数が多い状況は継続していますが、その比率は徐々に小さくなっています。
死者数に関しては気になる点があります。
ワクチン未接種の方は減少傾向が続いていますが、ワクチン2回接種の方は下げ止まっているように見えます。
60代以下を拡大して見ても同様です。
ワクチン未接種の死者数の減少は、自然感染によって抗体(N抗体)を獲得した人が徐々に増えていることが影響しているのかもしれません。
UKHSA COVID-19 vaccine surveillance report Week43
ワクチン2回接種の死者数の下げ止まりも、ワクチン効果の低下の影響でしょうか?
イギリスは10月に入ってから死者数が増加を続けています。
この死者数の増加は、次回以降のレポートに反映されると思われます。
注目したいと思います。