新型コロナワクチン、12歳未満が接種する必要はあるのか?

厚生労働省は5~11歳の接種の準備を進めるように自治体に要請したようです。

朝日新聞(2021/11/17)
5~11歳のワクチン接種「早ければ2月に開始」 厚労省が準備要請

厚生労働省は5~11歳への新型コロナウイルスワクチンの接種について、早ければ来年2月ごろから始める可能性があるとして、接種を担う自治体に準備を進めるよう要請した。
小児向けのワクチンは、米ファイザー社が今月10日に厚労省に承認申請を出したが、まだ承認はしていない。
15日に開かれた厚労省の専門家による分科会では、「打てる機会を確保することは重要だ」という意見が出た一方、「海外でも(コロナ感染による)小児の重症化例は少なく、日本でも死亡例はない」「積極的に接種を勧めることには慎重になるべきだ」という意見もあった。

 
会議の資料はこれだと思われます。
厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会)
第26回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 資料
【資料2】新型コロナワクチンの接種について




 
まだ議事録が公開されていないようですが、どんな議論が行われたのでしょう?
もしかして、この資料の内容だけで、5~11歳に接種する方向で進めているのでしょうか?
あのイスラエルでも承認していないものを・・

厚労省は5~11歳に接種した場合のリスクとベネフィットをどう評価したのか、明確に説明する必要があると思います。

CDCは、5~11歳のワクチン接種後の心筋炎のリスク(発生率)は「分からない」と言っています。



CDC Pfizer-BioNTech COVID-19 vaccine in children aged 5-11 years

 
日本の承認に米国FDAの評価結果を用いるのであれば、日本とアメリカの状況の違いを明確にする必要もあると思います。

FDA NEWS RELEASE(2021/10/29)
FDA Authorizes Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine for Emergency Use in Children 5 through 11 Years of Age

As of Oct. 17, 691 deaths from COVID-19 have been reported in the U.S. in individuals less than 18 years of age, with 146 deaths in the 5 through 11 years age group.
10月17日時点の米国の新型コロナの死者数は、18歳未満が691人、5~11歳が146人が報告されています。

アメリカの5~11歳の新型コロナによる死亡者数は、10/17時点で146人です。

それに対して日本では、20歳未満の死亡者数が3人です。



新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値)(R3/11/9)

10代で亡くなった3人に関しては、以下のような報道がされています。

NHK NEWS WEB (2021/9/8)
大阪 コロナ感染の10代男性死亡 “10代の死亡例は報告ない”

大阪府は、新型コロナウイルスに感染し治療を受けていた基礎疾患のある府内の10代後半の男性が7日、亡くなったと発表しました。
府によりますと、10代の患者が亡くなるのは大阪府内では初めてで、厚生労働省によりますと、全国でも今月1日時点のまとめで10代の死亡例は報告されていないということです。
大阪府によりますと、亡くなったのは府内に住む10代後半の男性です。

朝日新聞(2021/9/22)
新型コロナ、横浜の10代女性が死亡 ワクチンは1回接種

横浜市は22日、新型コロナウイルスに感染した市内在住の10代女性が死亡したと発表した。
市によると、女性は慢性肺疾患の持病があり、在宅で酸素吸入を行っていた。8月20日に呼吸状態が悪化したことから、市内の病院に入院。翌21日のPCR検査で感染がわかった。その後、徐々に状態が悪化し、9月18日に新型コロナが原因で亡くなった。
感染経路は不明。1回目のワクチン接種を受けていたという。

NewsDigest(2021/9/28)
新型コロナ 東京都で10代男性死亡 新たに248人感染確認

東京都は28日、新たに248人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。また、10代を含む8人の死亡が確認された。

東京都の10代男性については、以下のような報道もされています。

サンスポ(2021/9/28)
東京、新規感染248人 10代の感染者が事故死

都によると、10代男性の死因は事故。死亡後に検査し陽性が判明した。事故の詳細は公表せず、「感染と事故は無関係とみられる」としている。都内で10代の感染者の死亡が確認されたのは初めて。新型コロナ感染の届け出が都内の医療機関だったため、都内の死者として計上された。

東京の10代男性は事故後の検査で陽性が分かったということなので、新型コロナの症状としては軽症か無症状だったのではないでしょうか。
また、大阪の男性は10代後半と報道されています。
そして横浜の女性は、ワクチンを1回接種していたということなので、12歳以上のはずです。

つまり、日本の5~11歳で、純粋に新型コロナによって亡くなった人は、1人もいないことになります。
アメリカとは全く状況が違います。

新型コロナワクチンを5~11歳に接種するかどうかは、この状況を踏まえて判断する必要があると思います。
(普通に考えたら、何か特別な理由がない限り、接種の必要は全くないと思いますが)

厚労省は5~11歳の接種を承認するのであれば、その判断材料(将来のリスクも含めて)と判断根拠を国民に説明・周知して、保護者が間違った判断をしないようにする責任があると思います。