消費税増税とアベノミクスが日本の少子化を加速させたのか?
物価高に関する報道が連日行われていますが、少子化の加速が心配です。
たまたま見つけた記事です。
PRESIDENT Online (2022/9/8)「子どもをもう1人ほしい」という希望が打ち砕かれている…日本の少子化が加速する根本原因
わが国では少子化が叫ばれて久しいものの、2015年ごろまでの出生数(日本人)の減少率は年平均1.1%と比較的緩やかなものであった。それが、初めて100万人を割り込んだ2016年以降は、下げ足を一気に速め年率3.5%ペースで減少している(図表1)。
2015年までは緩やかに減少してきた出生数が、2016年以降、急減に転じた背景として最も注目すべきは、これまで出生数の押し上げ要因であった有配偶出生率が一転、押し下げ要因となったことである。
結婚している人の出生率(有配偶出生率)が、2016年以降、出生数のマイナス要因になったようです。
その理由の1つは「出生意欲の低下」で、その最大の要因として、若い世代の経済環境の悪化を指摘しています。
なぜ2016年以降に若い世代の経済環境が悪化したかは、上の記事では特に触れていないようですが、以下のグラフにその答えがありそうな気がします。
グレー背景の部分(2013~2018年)はアベノミクスの期間です。
その間、名目賃金が徐々に増えていますが、それ以上に消費者物価が上昇したため、実質賃金が低下しています。
特に、2014年に消費者物価が一気に約3%上昇しています。
2014年の3%と言えば、消費税の5%から8%への増税です。
消費者物価指数では、消費税はどのように扱われているのですか。
消費者物価指数は、世帯が消費する財・サービスの価格の変動を測定することを目的としていることから、財やサービスの購入と一体となって徴収される消費税分を含めた消費者が実際に支払う価格を用いて作成されています。
実際には、アベノミクスの円安効果等もあって財価格が4%程度上昇した一方、サービス価格は2%程度に抑えられていたため、全体の消費者物価の上昇は3%程度になっていたようです。
2014年は消費税の増税とアベノミクスの影響で、消費者物価が上昇し、実質賃金が低下したことになります。
また、この年の11月、当時の安倍首相は消費税10%への増税の延期を発表しました。
ロイター(2014/11/18)安倍首相が解散表明・消費再増税延期、来月14日投開票
安倍首相は会見で、消費税引き上げ判断の際、重視するとしていた7─9月の国内総生産(GDP)速報値について「成長軌道に戻っていない」との見方を示し、「アベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税10%への引き上げを18カ月延期すべきであるとの結論に至った」との判断を示した。
消費税が8%になって物価の上昇を実感している状況で、さらに10%への増税が予定されていたので、いろいろ節約を考える人も少なくなかったと思います。
そのような状況が、2016年以降の出生数の減少速度に現れたのではないでしょうか。
その後も実質賃金はほとんど上がっていません。
にもかかわらず、2019年10月1日、安倍さんは消費税を10%に増税しました。
当然、2020年の実質賃金は減少しています。
そして、2021年の出生数は81万人まで減ってしまいました。
2022年の実質賃金は大幅な円安と資源高でマイナスになりそうです。
2022年も出生数の減少は続きそうです。
結局のところ、消費税増税とアベノミクスによって実質賃金が低下し、少子化が加速したと言うことでしょうか・・
ちなみに、岸田さんは企業が賃上げすることを期待しているようですが、
物価上昇率をカバーする賃上げ 首相「労使で議論を」 春闘に向け
岸田文雄首相は4日、首相官邸で開いた「新しい資本主義実現会議」で、2023年の春闘に向けて「物価上昇をカバーする賃上げを目標に、企業の実情に応じて労使で議論していただきたい」と述べ、賃上げ実現に期待を示した。
賃上げできる余裕のある企業は、ある程度は賃上げするでしょう。
でも、余裕のない企業に無理やり賃上げさせたら、人を減らすとか、安全管理を省略するとか、どこかにしわ寄せがいくだけだと思います。
円安で大儲けしている企業があるなら、その儲けを分配すればいいのではないでしょうか。
円安差益税でも作って、その分で消費税を減税するのはどうでしょう?