Jアラートはオオカミ少年か?
こんな状態で、本当に必要な時に使い物になるのでしょうか・・
NHKニュース(2023/4/13)
Jアラート 与野党から指摘「検証を」「おおかみ少年に」
4月13日の北朝鮮の弾道ミサイルの発射をめぐり、政府は北海道周辺を対象にJアラートを出しましたが、その後、訂正情報を発表しました。与野党からは、国民に混乱が生じたとして検証や改善の必要性を指摘する声があり、政府は今後、対応を求められることになりそうです。
この経緯について政府関係者は、「ミサイルは探知後にレーダーから消失したものの、限られた情報の中、システム上で北海道周辺に落下する航跡が生成されたため、国民の安全を最優先して発出を判断した。その後、落下の可能性がないことが確認され、改めて情報を提供した」と説明しています。
松野官房長官は記者会見で「探知の直後、北海道周辺に落下する可能性のあるものはレーダーから消失していたが、限られた探知の情報の中で、国民の安全を最優先する観点からJアラートを発出した。その後、当該ミサイルについて、わが国への飛来が確認されず、わが国領域への落下の可能性がなくなったことが確認された」と述べました。
政府はミサイルの発射を探知した直後に、ミサイルを見失って、状況が分からなくなってしまったようです。
そして、状況がわからない中、とりあえずJアラートを出したということです。
なぜ見失ってしまったのかは、その後報道されています。
産経新聞(2023/4/14)「消えた」北のミサイル 防空網突破へ角度変更
北朝鮮メディアは14日、新型ICBM「火星18」が3段式の推進体で発射され、分離する際に発射角度を変えたと公表した。日本の領域内への落下予測に伴い全国瞬時警報システム(Jアラート)が発出され、その後訂正された問題で、日韓の関係者は探知後の飛行角度変更が影響したとの見方を示した。朝鮮中央通信は、今回の火星18が「周辺国家の安全を考慮」し、1段目の推進体が通常軌道で発射された後、2、3段目の分離・点火以降はロフテッド軌道と呼ばれる高角度で飛行したと説明。火星18の初の発射実験にあたり、技術上のリスクを低減する狙いから、1段目を通常軌道で発射した可能性がある。
防衛省統合幕僚監部の大和太郎総括官も14日、衆院安全保障委員会で「落下を予測したところに来なかった原因は分析中だ」としつつ、「飛翔中に軌道が変わった可能性も含めて検証したい」と述べた。
ICBMの軌道が途中で変わったことで、見失ってしまったようです。
ICBMのような「弾道ミサイル」は、発射直後に加速した後は弾道飛行するので軌道が変わらない。
というのがこれまでの常識でしたが、もはやその常識は通用しないということだと思います。
今のミサイル探知システムの欠陥が露呈してしまったようです。
また、個体燃料が使われたことも混乱の一因になった可能性がありそうです。
読売新聞(2023/4/15)北ミサイル「深刻な脅威」、固体燃料式へ開発続く…素早い発射・探知も困難
朝鮮中央通信によると、13日の火星18の発射は、ICBMの運用を担うミサイル総局の中隊が行った。配信された写真によれば、移動式発射台(TEL)から発射され、スカート形に広がる炎を噴射しながら上昇した。あらかじめ燃料を 装填そうてん することで、素早い発射が可能になる固体燃料式ミサイルの特徴だ。北朝鮮が過去に発射した「火星17」などのICBMは液体燃料式だった。液体燃料は時間が経過すると劣化するため、発射直前に燃料を注入する必要がある。注入に時間がかかり、米国の衛星などで発射の兆候をとらえるのは比較的容易で、米国本土が狙われても迎撃は可能とみられていた。
政府は今回のJアラートの発出を「適切だった」と言い切っていますが、
テレビ朝日モーニングショー(2023/4/14)
一般市民は何も気にせず通勤通学していたようです。
テレビ朝日モーニングショー(2023/4/14)
通常角度で発射した直後にJアラートを発出したのは「適切」だとしても、その後状況が変化したら、アラートをアップデートする必要があると思います。
「全体として適切でないもの」を一部分だけ取り上げて「適切だー」と言っているようでは、信用を下げるだけでしょう。
Jアラートがオオカミ少年になるのも時間の問題かもしれません。
ちなみに、日本はアメリカにトマホークを400発買わされるようですが、
トマホーク購入数は「400発を予定」 首相が答弁、単価は説明せず
岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入数について「400発を予定している」と明らかにした。
相手の領域内にあるミサイル発射拠点などを攻撃する「敵基地攻撃」に使うことを想定している。
Jアラート1つで大混乱しているような日本政府が、敵基地攻撃の判断などできるのか、非常に疑問です。
東京新聞(2022/10/5)敵基地攻撃能力あればミサイル防げる? 発射手段の多様化で標的把握は困難 原発狙われたら被害甚大
発射技術も年々向上している。山岳地帯などの地下施設に隠した移動式発射台から短時間で発射する態勢を整備。鉄道貨車や潜水艦から発射する能力も開発中で、発射位置を事前に探知して攻撃するのは極めて難しくなっている。
トマホークを買う前に、もっと探知と追跡の能力を高める必要があるのではないでしょうか。
敵基地攻撃どころか、迎撃でもJアラートでも、探知・追跡能力がなければどうしようもありません。
そして、探知・追跡能力と合わせてシェルターの整備と避難計画も必要でしょう。
政府が本気で国民の安全を考えていたら、いきなりトマホーク400発ではないと思うのですが・・
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