日本の死亡者数に異変が起きている(その12)

今さら感もありますが、論文が発表されたそうです。

共同通信(2023/8/31)
21年の死亡率、2.2%増加 新型コロナや老衰など主要因


 
人口動態統計を基に算出した2021年の人口10万人当たりの死者数(死亡率)は989.6人で、前年に比べて2.2%増加したとの集計結果を、国立がん研究センターのチームが31日、国際医学誌に発表した。前年比増は東日本大震災があった11年以来で、当時の1.4%増を上回った。

同センターがん対策研究所の田中宏和研究員は、新型コロナ禍の死亡率への影響を「感染拡大による直接的な要因の他、診療や検診の制限などが多面的に関係している」と分析。22年も死亡率増が見込まれ「21年が傾向の変わり目になった可能性がある」と指摘した。

発表された論文はこれと思われます。

Impact of the COVID-19 pandemic on mortality trends in Japan: a reversal in 2021? A descriptive analysis of national mortality data, 1995-2021

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが日本の死亡率に与えた影響:2021年に逆転?1995~2021年の死亡率データ分析
日本では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにもかかわらず、2020年も全体の死亡率の減少傾向が続きました。しかし、2021年には約2%の死亡率増加が観察されており、これは新型コロナウイルス感染症、老衰、心血管疾患、および「その他の原因」に起因するものでした。2021年は日本の死亡率傾向の転換点となったが、継続的な監視が必要である。

 
2021年以降の日本の死亡者数増加の3大要因が、コロナ、老衰、心血管疾患(循環器系の疾患)というのは、1年前のこのブログでも書いた話です。

日本の死亡者数に異変が起きている(その11)

重要なのは、なぜそうなったのか?という点だと思いますが、論文にはこのような記述があります。

新型コロナウイルス感染症は急性心筋梗塞や虚血性脳卒中の危険因子であることが示唆されており、日本人の重度の心疾患有病率の増加要因になった可能性があります。
さらに、パンデミックにより救急搬送の遅れや病院への到着の遅れが生じ、タイムリーな治療が受けられなくなったことが、心血管疾患による死亡率増加の間接的な要因になった可能性があります。

高齢者にとっては、新型コロナウイルス感染症による直接的および間接的な死亡の両方が老衰と誤って認識される可能性があり、これが2021年の超過死亡の一因となった可能性があります。

私たちの調査結果は、2021年の死亡率の増加が新型コロナウイルス感染症の感染者数の増加と関連している可能性があることを示唆しています。

どれも推測・可能性のレベルだと思われますが、どうしても新型コロナを原因にしたいように思えてしまうのは気のせいでしょうか・・

2021年の死亡者数を議論する上で、ワクチンに関する事が一切出てこないのは変だと思います。


 

兵庫保険医新聞(2022/10/15)

まあ、国立がん研究センターだとしょうがないかもしれませんが・・

もうすぐ始まるので、政府に依頼されて書いたのかもしれません。


厚生労働省

 
ちなみに、久しぶりにグラフを更新してみました。


データ元:厚労省 人口動態統計速報


 

 
今年の2月以降、死亡者数の増加傾向が止まっています。
また、全く報道されていないと思うのですが、高齢者人口も増加が止まっています。
これは何を意味するのでしょう?

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