河野デジタル大臣は「デジタル」をまるで理解していない

さっさとデジタル大臣を辞めたほうがいいのではないでしょうか。

PRESIDENT Online (2024/8/16)
河野太郎氏は「デジタル」をまるで理解していない…大失策のツケを地方に丸投げするデジタル大臣の呆れた実態

デジ庁の「ギブアップ」資料が公開され騒ぎに
その河野太郎さんは現職のデジタル大臣ですが、目下進めている国策であるガバメントクラウドと、関係省庁・自治体間のデータ連携を促進させる各種施策に関して、実質的に自治体データの標準化という大事な作業をギブアップする資料が公開され騒ぎになっています。

2024年6月下旬に実施されたデジタル庁内のデータ標準化関連の会議の議事要旨が7月31日にようやく公表されたのですが、そのデジタル庁対応方針の中身に「データ連携に関する課題は事業者間協議にて解決を行う」という内容が入っていたため、関係者は全員椅子から転げ落ちる勢いで衝撃が走ったのです。

その「ギブアップ」資料には、以下のような内容が書かれています。

デジタル庁(2024/6/26)
令和6年度 第1回共通機能等課題検討会資料



 
課題の対応方針
将来的な課題として、標準仕様書等の詳細化を図ることの必要性は認識していますが、令和7年度末までの標準化移行を達成するためには、速やかに取組を進めつつ、発生した課題に対して柔軟に対応する必要があることから、「データ連携に関する課題は事業者間協議にて解決を行う」こととします

事業者間協議により解決を図る背景
データ連携に関する課題の解決においては、デジタル庁から詳細な仕様等を提示することが事業者間の相互運用性を高めるうえで重要であることは認識しています。
一方で、既に開発に着手済みの事業者もあることから、前述のとおりデジタル庁が詳細な仕様等を示すことについて、開発への影響や手戻りを懸念する意見を複数の事業者からいただきました。
以上のことに鑑みて、令和7年度末までの安全なシステム移行の観点から、事業者の保有する経験や知見を活かし、事業者間協議により調整を進める従来の進め方が最適であると判断しました。

自治体データの標準化のための仕様を、デジタル庁が決めて提示するのではなく、事業者間で決めてもらう(事業者に丸投げする)ようにしたようです。

とにかく決めたスケジュールを守るために、中身はどうでもいいから見た目だけデッチ上げようとしているのでしょうか?

そんなやり方では、本末転倒になりそうです。

PRESIDENT Online (2024/8/16)
河野太郎氏は「デジタル」をまるで理解していない…大失策のツケを地方に丸投げするデジタル大臣の呆れた実態

「バラバラのシステム」ではデータ連携が困難に
この大事なデータ標準化の策定作業をデジタル庁が決め切れず、あろうことか自治体にぶん投げ直し、各事業者間で協議し、その調整は自治体がやりなさいと丸投げしたことで、大変なことになってしまいました。どうしてこうなったのか分かりませんが、2025年度末までの基幹業務システムの標準化という目標が未達になってしまいます。

システムの基本設計で必要なデータの持ち方が決まらないわけですから、単にシステムの開発が間に合わないよということではなく、開発期間が延びます。またその分だけ開発コストがかかります。

 
そもそも、「地方公共団体情報システム標準化基本方針」には、以下のように書かれています。

デジタル庁
地方公共団体情報システム標準化基本方針(2023年9月8日閣議決定)

2.1 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の意義
〇 我が国は、行政サービスの多くを地方公共団体が提供しており、それらを支える地方公共団体の基幹業務システムは、これまで、地方公共団体が個別に開発しカスタマイズをしてきた結果として、次のような課題を抱えている。
(1) 維持管理や制度改正時の改修等において地方公共団体は個別対応を余儀なくされ負担が大きいこと
(2) 情報システムの差異の調整が負担となり、クラウド利用が円滑に進まないこと
(3) 住民サービスを向上させる最適な取組を迅速に全国へ普及させることが難しいこと

〇 具体的には、次のとおりである。
(1) 国は、地方公共団体や基幹業務システムを提供する事業者の意見を丁寧に聴き、標準化対象事務を処理するシステムについての標準化基準の策定及び変更を行う。

3.3.1 制度所管省庁の役割及び連携
(2) デジタル庁は、情報システムの整備及び管理の基本的な方針の作成及び推進に関すること等を所掌する観点から、機能標準化基準を策定及び変更する制度所管省庁を支援するとともに、各標準化対象事務間で整合するよう調整を図りながら、総務省とともに、標準化法第7条第 1 項に基づき定める基準(以下「共通標準化基準」という。)の策定及び変更を行う。

デジタル庁はこの基本方針を無視して、デジタル庁の仕事を事業者に丸投げするようです。

この件に関して、先日の河野デジタル大臣の記者会見で質疑がありました。

デジタル庁(2024/8/2)
河野大臣記者会見(令和6年8月2日)


 
(問)自治体システム標準化について、標準化の目的の一つはデータ連携で、それについて仕様をデジタル庁が作成されていたかと思うのですけれど、7月31日に公開された検討会資料と議事要旨で、データ連携に関する課題は、デジタル庁が方針などを示すのではなく、事業者間協議によって解決を行ってくださいと方針を出されたかと思うのですが、これについて自治体の方や事業者の方たちから非常に遺憾の声、デジタル庁は仕様書の作成を放棄したのではないか、という声がありまして、これについて大臣からコメントをいただくことは可能でしょうか。

(答)誤解だと思います。標準準拠システムの間の連携につきましては、標準仕様書を出していますが、このデータの持ち方の具体的な部分はこれまでも競争領域として、それぞれの事業者に委ねてきております。その方針は以前から何ら変わったことはありません。6月26日の検討会では、2025年度末までの円滑なシステム移行を達成するためにどうするかというご意見を伺って、データ連携に関する課題は、事業者それぞれの経験や知見を生かして、これまでどおり事業者間で協議して解決するという方針をそのまま継続するということをお示しいたしました。現段階でデジタル庁が詳細な連携仕様などを示すと、開発に手戻りが生じるなどの意見が一部からも出されております。最終的に揉め事があったり、うまく調整ができないという場合には、デジタル庁が前に出て調整するということで、それについても特に変わりはございません。

河野大臣はデジタルの基本を分かっていないのではないでしょうか。
デジタルのデータは、たとえ1バイトでも、1ビットでも、データの位置が違っていたら、正しく連携することはできません。

データの持ち方の具体的な部分はこれまでも競争領域として、それぞれの事業者に委ねてきております。
データの持ち方の具体的な部分を、どの事業者のシステムも同じにして、データの連携ができるようにすることが標準化でしょう。
それを競争領域にしてしまったら、いったい何を標準化するのでしょう?

事業者どうしで勝手に決めてくれというのは、閣議決定された基本方針を無視したデジタル庁の責任放棄としか言いようがありません。

そんな無責任なデジタル大臣はさっさと辞めて、ちゃんと「デジタル」を理解している人に交代したほうがいいと思います。