マイナ保険証への強制移行、資格確認書はいつ届くのか?
このまま強行すれば、医療現場では様々な混乱が起きそうです。
弁護士JPニュース(2024/8/21)マイナ保険証“本格運用”まで4か月切る「いずれ致命的なトラブルが起きるのでは」 現役開業医が不安を吐露
読売新聞(2024/5/6)健康保険証の新規発行が停止される12月2日まで、残り4か月を切った。国は、この日時点で有効な健康保険証は1年後の2025年12月1日まで使用できるとしているが(それ以前に有効期限が切れる場合はその日まで)、以降は資格確認書の交付を受けない限り、マイナンバーカードで保険資格を確認することとなる。
利用者が少ない現状でも、顔認証がうまくいかない、ひもづけられている情報が古いなどのトラブルが医療機関で続出していることは、報道などから知っている人も少なくないだろう。神奈川県で内科クリニックを開業するA医師は、「とてもではないが、マイナ保険証の本格運用が混乱なしでできるとは思えない」と不安を吐露する。
「規則上は『事業主による届出から5日以内にデータ登録を行う』とされているはずが、当クリニックでも、転職にともない新しい健康保険証を交付された患者さんの保険資格をオンラインで照合しようとしたところ、『資格なし』と表示される状態が3か月ほど続いたことがありました。これは決してレアケースではなく、オンラインの情報が更新されるまでに1か月、2か月と時間がかかる場合がほとんどです。
医療機関の6割「マイナ保険証でトラブル」、最多は「旧字が表れない」…他人の個人情報ひもづけも
茨城県保険医協会は1日、健康保険証とマイナンバーカードを一体化した「マイナ保険証」に関する医療機関への調査結果を発表した。昨年10月からの約3か月間で、約6割の医療機関が「トラブルがあった」と回答した。
トラブルの有無で「あった」と答えたのは196施設で59%を占めた。トラブルの内容(複数回答)は、「名前や住所で旧字体が表示されない」が158件(31%)と最も多く、「最新の加入保険の種類や名前などの情報が反映されない」の94件(18%)が続いた。他人の個人情報がひもづけられた例も4件あった。
名前や住所の旧字体や外字が正しく表示されない不具合は、以前から騒がれていましたが、いつ解消するのでしょう?
データの更新に何か月もかかるのは論外だと思いますが、マイナ保険証を使うための土台である「オンライン資格確認システム」が、いまだに不完全なのは大問題だと思います。
本来なら「マイナ保険証」は、「オンライン資格確認システム」が不具合なく安定して運用できるようになってから、導入すべきものです。
それを、どっちも不完全なまま一気に導入したら、トラブルだらけになるのは当然です。
まあ、日本政府は意図的に「マイナ保険証」と「オンライン資格確認」をごっちゃにして、マイナンバーカードを普及させようとしているようですが・・
(参考)
マイナ保険証とオンライン資格確認をごっちゃにするな!
マイナ保険証とオンライン資格確認をごっちゃにするな!(その2)
マイナ保険証とオンライン資格確認をごっちゃにするな!(その3)
オンライン資格確認の不具合が解消されたとしても、大混乱の原因になりそうなのが「資格確認書」です。
協会けんぽの資料には、以下のように書かれています。
既存加入者の「令和7年(2025年)」というのは、おそらく「令和6年(2024年)」の間違いだと思いますが、12月2日以降に、「保険者が必要と判断した場合に資格確認書を発行します。」となっています。
そして、
(※)マイナ保険証をお持ちでない方、マイナンバーが未登録の方などに発行します。
と書かれていますが、今一つあいまいです。
以前のブログ でも書いてみましたが、おそらく保険者は、このような条件で資格確認書を発行(交付)することになるのではないでしょうか。
まず、資格確認書は、被保険者の資格がない人には交付されませんが、冒頭の記事のように、データの更新に1か月も2か月もかかっているようでは、保険の資格があっても交付されない場合があるかもしれません。
今年の12月以降、転職や退職を予定している人は要注意だと思います。
被保険者の資格があると判断された場合は、マイナ保険証の登録がなければ資格確認書が交付されますが、ここでも、タイミングの問題が起きそうです。
マイナ保険証の登録と、保険者が資格確認書の交付を判断するタイミングが重なると、マイナ保険証を持っているにも関わらず、資格確認書が交付される可能性があります。
マイナ保険証の登録を解除する場合は要注意です。
今年の10月以降、マイナ保険証の登録解除が可能になる予定です。
マイナ保険証の登録解除が可能に―2024年10月申請受付開始
マイナ保険証の登録解除と、保険者が資格確認書の交付を判断するタイミングが重なると、資格確認書が交付されない場合があるかもしれません。
現在マイナ保険証の登録をしていて、今後登録を解除しようと思っている人は、注意した方がいいと思います。
さらに、マイナンバーカードの電子証明書の有効・無効があります。
電子証明書の有効期限が切れた場合や、マイナンバーカードを紛失して失効させた場合など、電子証明書が無効になっている場合は、マイナ保険証も使えなくなります。
その場合、マイナ保険証の登録がリアルタイムで解除されるのか、よく分かりませんが、保険者が資格確認書の交付を判断するタイミングによっては、資格確認書が交付されない場合があるかもしれません。
2025年は、約1000万人のマイナンバーカードの電子証明書が更新時期を迎えます。
現状、マイナンバーカード保有者の約8割の人がマイナ保険証に登録しているそうなので、2025年は、約800万人のマイナ保険証所有者が電子証明書の更新時期を迎える可能性があります。
医療機関でマイナ保険証を使おうと思ったら、電子証明書が無効になっていて使えないとか、
いつまで待っても資格確認書が送られてこないから、期限切れの保険証を持ってきたとか、
医療機関の現場ではいろいろ混乱が起きそうです。
資格確認書の交付時期が、保険者によってバラバラで曖昧なのも、混乱の原因になりそうです。
協会けんぽは、2024年12月2日以降、1年程度かけて交付するようです。
日本私立学校振興・共済事業団は、2025年の秋ごろ、一斉に交付するそうです。
東京都日の出町は、2025年9月30日までに、順次送付するそうです。
資格確認書が必要な人に、必要な時までに、ちゃんと届くのでしょうか。
今年の12月以降、医療現場では様々な混乱が起きそうです・・