令和の米騒動(その4)
政府は重要な事を言っていません。
農水省が今日公表した資料です。
政府は、
「在庫率が平成23,24年と同水準だから大丈夫」
と言っていますが、在庫率よりもっと重要なことがあります。
それは、生産量が需要量を下回っていることです。
平成23,24年の時は、生産量が需要量と同じか上回っていました。
さらに、平成25年の生産量は、需要量より40万トンも多かったため、在庫率が大幅に改善しています。
一方、令和3年産以降、生産量が需要量を下回っています。
しかも、その差は年々拡大しています。
令和4年産の生産量は、需要量より21万トン少ないので、令和5年の在庫量は21万トン減っています。
令和5年産の生産量は、需要量より41万トン少ないので、令和6年の在庫量は41万トン減っています。
毎年、需要量が生産量より多ければ、在庫量がどんどん減っていくのは当然です。
仮に、今後の需要量が702万トンのまま変わらなければ、
令和6年産の生産量の見通しは669万トンなので、その差は33万トンで、令和7年6月末の民間在庫量は123万トンになります。
年間702万トンを12で割ると約60万トンなので、123万トンは2か月でなくなる量です。
つまり、
令和6年産の米が予定通り669万トン供給できて、
年間の需要量が前年と同じ702万トンで、
企業や消費者の買い急ぎなどがなければ、
令和7年8月末の在庫がほぼ0になるということです。
今のところ、令和6年産の生育は順調のようなので、生産量は予定通りと思われますが、需要量はどうでしょう?
最近の需要の増加傾向を考えると、今後も増える可能性が高そうな気がします。
それだけでも在庫が底をつく時期が早まりますが、そんな状況を察知した企業や消費者の買い急ぎが始まると、もう夏前に在庫がなくなってしまうかもしれません。
そして、令和8年以降は、在庫の枯渇がさらに早まる可能性があります。
政府はとにかくコメの価格を下げたくないようですが、
全国的な“コメ不足” 新米入荷も4割高 備蓄米放出に農水省幹部「放出すればコメの価格がさがる」
農水省幹部
「放出すればコメの価格が下がる。農家は喜ばない」キヤノングローバル戦略研究所 山下一仁 研究主幹
「本来なら不足の時に放出するのが備蓄のあり方なんですけど、そうすると農家が困る名目で、市場からその米を隔離するわけです。『米価を高く維持しよう』そのために使われてきたのがこの備蓄制度」ただ、すでにコメの価格は去年より26%以上上昇しています。
来店客
「値段も1か月前と比べたら(5キロで)1000円は高くなってるでしょ?今あるのを出して、新米ができたらまた備蓄すればいい」
来店客が言っているように、今備蓄米を出して、後で新米を備蓄すれば、トータルの需給は変わらないはずです。
米の価格も、今なら高い状態を維持できるのではないでしょうか。
おそらく、政府が頑なに備蓄米の放出を拒否するのは、米の価格をもっと上げようとしているからかもしれません。
そして、米の需要を減らそうとしているのではないでしょうか。
実は、米の生産量はこれ以上増やせないから、需要を減らすしかないと考えているのでは?
このままでは、日本の米が高級食材になる日は、そう遠くないかもしれません。
庶民が毎日、日本の米を食べることができなくなる・・
大問題だと思います。
政府は正直に説明すべきです。