令和の米騒動(その5)

米の値上がりが激しいです。

日テレNEWS(2024/9/2)
新米概算金、主要産地で2~4割増 ヨーカドーはすでに1.5倍の銘柄も





 
これから収穫が本格化する新米の価格の基準となる金額が主要産地で2割から4割の引き上げとなることがわかりました。

JAグループが、新米の集荷の際に農家に対して支払う「概算金」が主要産地で出そろいました。たとえば、北海道では「ななつぼし」は60キロあたり1万6500円で、去年より32%高くなります。

また、店頭のコメが品薄となっている状況を解消するため、生産者に、9月末までの出荷分に対してさらに3000円の上積みを行います。新潟の「魚沼産コシヒカリ」は去年より2割近く、茨城では4割以上高くなる銘柄もあります。

店頭価格にも影響が出ています。イトーヨーカドーではすでに店頭価格が去年の同じ時期に比べ1.2倍から1.5倍ほどになっていて、新米の価格も上昇すると見込んでいます。

今回の米騒動は、政府やJAにとっては、米の値段を上げる、いいきっかけになったということでしょう。

また、政府の政策の効果とも言えると思います。

キヤノングローバル戦略研究所(2024/8/30)
不作でもインバウンドでもない コメが買えない「本当の理由」

コメが各地で品薄状態となり、価格が高騰している。ほぼ100%国産なのに、なぜこんな状況に陥っているのか。元農水官僚の山下一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹に「令和の米騒動」の内幕を尋ねると、消費者をないがしろにしたコメ政策の実態が見えてきた。

――コメの品薄や価格高騰はなぜ起きているのですか。
昨年の猛暑による不作やインバウンド(訪日外国人)の増加でコメの消費が増えたためだと言われていますが、両方とも主な原因ではありません。

――では、大きな要因は何だと?
コメが不足しているのは減反政策のせいですよ。減反というのは、コメの生産を減らして、市場価格を上げる政策です。コメ農家が麦や大豆など他の作物に転作すれば、国が補助金を出す仕組みです。日本はこれを50年以上も続けているのです。

コメ以外のパンやパスタなどの消費が増える中、従来と同じ量のコメを作っていたら、余って価格が下落してしまう。そうならないよう、年々生産を減らし、最近では水田の約4割を減反して6割しか使わず、ピーク時の1445万トンの半分以下の生産に抑えています。

ギリギリの生産態勢でやり繰りしているから、訪日客の消費が少し増えるなど、ささいな需要の変動があるだけで、あっという間に品薄状態となり、価格が高騰してしまう。それが今、足元で起きていることの本質です。

――そもそも減反政策は18年、当時の安倍晋三政権が廃止したはずですが。
あれは安倍政権のごまかしです。廃止したのはコメの「生産数量目標」だけで、生産を減らせば補助金を出すという減反政策の本丸は残したままです。

 
今でも続けられている減反政策は、「畑地化促進事業」という名称のようです。

農林水産省
【事業のご案内】畑地化促進事業について

水田を畑地化して畑作物の本作化に取り組む農業者に対して、畑地利用への円滑な移行を促し、畑作物の需要に応じた生産を促進することを目的として、生産が安定するまでの一定期間、継続的に支援(伴走支援)を行うとともに、畑作物の産地づくりに取り組む地域を対象に、関係者間での調整や畑地化に伴う費用負担(土地改良区の地区除外決済金等)等に要する経費を支援します。

 
減反政策の効果だけではないかもしれませんが、作付け面積は着実に減っているようです。


稲作の現状とその課題について
 

畑地化促進事業 のQ&Aには、このように記載されています。

主食用米の需要が毎年 10 万トン程度減少する中、水田において、主食用米から需要のある作物への転換を進めていくことが必要です。

主食用米の需要は、毎年減少することが前提になっています。
おそらく、需要が増えることは想定していないのでしょう。

令和6年の需要の増加は、政府にとって不都合な事実なのかもしれません。


米の需給状況の現状について(緑字部分は筆者が追記)

前回のブログ でも書きましたが、このまま生産量が需要量を下回る状態が続けば、今後も米不足が起きて、米の値段が上がっていきそうです。

キヤノングローバル戦略研究所(2024/8/30)
不作でもインバウンドでもない コメが買えない「本当の理由」

――今回のようなコメの品薄や価格高騰は今後も起こるでしょうか。
減反政策を続ける限り、同じような事態は繰り返されます。消費のささいな動きでコメはすぐ品薄となり、価格高騰につながるという環境は変わらないからです。

日本政府はどうするつもりなのでしょう?