新型コロナ用「レプリコン」ワクチン
日本政府は誰にどう説明して接種させようとしているのでしょう?
毎日新聞(2024/9/19)定期接種にコロナワクチン5製品承認 新タイプ「レプリコン」も
厚生労働省のワクチン分科会は19日、今シーズンの定期接種で使う新型コロナウイルスワクチンについて、「レプリコン」という新しいタイプのワクチンを含む5製品の使用を了承した。
定期接種は65歳以上の高齢者と基礎疾患のある60~64歳の人が対象で、10月1日から始まる。
今回政府が承認したのは、今年度の定期接種で使用する以下の5種類のワクチンです。
今回、初めて「レプリコン」タイプのmRNAワクチンが導入されることになりましたが、これは去年の11月に従来株で承認されたものです。
コロナ 新タイプmRNAワクチン「レプリコンワクチン」国内承認
ミクスOnline(2022/12/15)
海外で開発された、「レプリコンワクチン」と呼ばれる、新型コロナウイルスに対する新しいタイプのmRNAワクチンが、28日、国内で承認されました。申請した製薬会社は、今後、変異ウイルスに対応したワクチンを開発した上で、来年の秋や冬の接種を目指すとしています。承認されたのは、製薬会社の「Meiji Seika ファルマ」が申請していた、従来株の新型コロナウイルスに対する「レプリコンワクチン」と呼ばれるタイプのワクチンです。
このワクチンは海外で開発されたもので、接種した新型コロナウイルスのmRNAが体内で複製される新たな技術を使っているため、少量で効果が長続きするということです。
会社などによりますと、このタイプのワクチンが承認されるのは世界で初めてだということです。
Meiji Seikaファルマ 新型コロナの次世代mRNAワクチン「ARCT-154」の国内臨床試験開始
Meiji Seikaファルマは12月13日、米アークトゥルス・セラピューティクス社が開発した新型コロナに対する次世代mRNAワクチン「ARCT-154」について、国内第3相臨床試験を開始したと発表した。2023年春の承認申請を目指す。同試験は厚労省からの助成を得て進める。
ARCT-154はレプリコンワクチンと呼ばれるもので、接種後に抗原タンパクをコードするmRNAが細胞内で複製され、持続的に抗原タンパクがつくられるワクチン。接種量が少なく、ワクチンの効果が長く持続することが期待されている。
「mRNAが細胞内で複製され、持続的に抗原タンパクがつくられる」
「接種量が少なく、ワクチンの効果が長く持続」
これが従来のmRNAワクチンとの最大の違いだそうです。
レプリコンタイプのmRNAワクチンは、Self-amplifying mRNA(saRNA、自己増幅型mRNA)ワクチンとも言われていますが、人間の細胞内でmRNAをコピーする機能が組み込まれています。
そのため、従来のmRNAワクチンより少ない量で大量のスパイクタンパク質を発生させることができて、より長時間効果が得られるということです。
このレプリコンワクチン(コスタイベ)の添付文書を見ると、1バイアル(16回分)のmRNAは0.10mgとあるので、接種1回分のmRNAの量は0.00625mgです。
一方、ファイザーのコミナティは、6回分が0.225mgなので、1回分は0.0375mg。
モデルナのスパイクバックスは、1回分が0.05mgです。
(ただし、バイアル内には余剰分もあるので、実際に接種される量はこれらより少なくなる)
確かに、従来のmRNAワクチンと比べて、接種1回分のmRNAの量はかなり少ないようです。
(参考)
コスタイベの添付文書情報
コミナティの添付文書情報
スパイクバックスの添付文書情報
また、中和抗体価の持続性も、ファイザーのコミナティより良いようです。
レプリコンワクチンのメリットとして謳われている、
「接種量が少なく、ワクチンの効果が長く持続」
は、とりあえず実現されているようです。
そうなると気になるのは、このワクチンのリスクと安全性です。
厚労省は、メーカー(明治製菓ファルマ)とPMDAの「コミナティと大きな差異はない」という判断を鵜呑みにして、安全性に問題はないと判断したようです。
副反応の出方とか、よく見るとコミナティと違う部分もありそうですが、そんな事はどうでもいいのでしょうか?
従来の新型コロナワクチン(大多数がコミナティ)では、2回目接種の翌日に多くの副反応が出て、接種の翌々日はその半分位に減っています。
一方、レプリコンワクチン(ARCT-154)では、1回目接種も2回目接種も、接種の翌日に加えて翌々日も、多くの副反応が出たようです。
(下の図の横軸は、1が接種の1日後(翌日)、2が接種の2日後(翌々日))
この違いがレプリコンに起因するものなのか、それ以外に原因があるのか、はっきりさせておく必要はないのでしょうか?
少なくとも、副反応の出方に違いがあるなら、全国の接種に関わる医師は把握しておく必要があると思うのですが。
また、メーカーにしろPMDAにしろ、レプリコンという新しいワクチンの仕組みに着目した検証をどれだけやったのかも気になります。
JBpress(2024/9/2)新型コロナ「レプリコン・ワクチン」になぜ懸念の声?mRNAが自己増殖し長期間の効果に期待、だが承認は日本のみ
日本看護倫理学会が表明した懸念の中身
もっとも、レプリコン・ワクチンに対しては、医療関係者からも使用に疑問の声が出ています。その最たるものは、一般社団法人・日本看護倫理学会でしょう。同学会は2024年8月7日に「新型コロナウイルス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念 自分と周りの人々のために」と題する緊急声明を発表し、「安全性および倫理性に関する懸念」を表明したのです。5つ示されたポイントのうち、重要なのは次の3点です。
レプリコンワクチンが開発国や先行治験国で認可されていないという問題
日本での認可から約8カ月になるが、開発国の米国や大規模な治験を行ったベトナムなど海外では今も承認国が出ていない。この状況は海外で承認が取り消された薬剤を日本で使い続け、多くの健康被害をもたらした薬害事件を想起させる。シェディングの問題
レプリコンワクチン自体が自己複製mRNAであるため、接種者から非接種者に感染(シェディング)するのではないかとの懸念がある。それは接種を望まない人にワクチン成分が取り込まれてしまうという倫理上の問題がある。将来の安全性に関する問題
遺伝子操作型mRNAワクチンは、人体の細胞内の遺伝機構を利用し抗原タンパク質を生み出す技術であり、人間の遺伝情報や遺伝機構に及ぼす影響、とくに後世への影響についての懸念が強く存在する。(最近の研究によると)ヒトの遺伝情報に影響しないという言説は根拠を失いつつある。
さらに、レプリコン(saRNA)ワクチンには、以下のような潜在的な欠点もあるようです。
How do Self-Amplifying RNA Vaccines Work?
潜在的な欠点
saRNAには、抗原タンパク質をコードする遺伝子とレプリカーゼ機構をコードする遺伝子が含まれています。したがって、saRNAワクチンには、標準的なmRNAワクチンよりもはるかに長いmRNA配列が含まれています。saRNAが長いため、製造と送達がより困難になっています。長いRNA構造を高収量かつ高純度で製造することは困難です。大きな荷電高分子を細胞膜を越えて輸送することも困難です。saRNAワクチンには安全性に関する懸念もあり、臨床現場で監視する必要があります。たとえば、免疫不全の人の場合、免疫システムによる除去効率が低いため、saRNAワクチンの効果が長く持続する可能性があります。同様に、saRNAワクチンが胎児に追加のリスクをもたらさないことを確認するために、妊婦を対象とした安全性試験が必要になります。
研究者が考慮する必要があるもう1つの欠点は、saRNAの複製中に生成される中間体が好ましくない免疫反応を引き起こし、翻訳と免疫化の成功を妨げたり、より悪い副作用を引き起こしたりする可能性があることです。
ワクチンの製造に関する懸念は、臨床試験段階では表面化せず、数10万回分、数100万回分と大量生産して顕在化する可能性もあると思います。
もし、製造不良によって、ワクチンの中に不良品のmRNAが混入したら、その不良品のmRNAも自己増幅されるのでしょうか?
ちなみに、2021年の新型コロナワクチンの接種開始当初、接種後の死亡率がかなり高かったのは、ワクチンの製造品質が原因ですか?
ロットによって接種後の死亡率が大きく異なるのは、ロット毎の製造品質のバラツキが原因ですか?
今年度のレプリコンワクチンの供給数は、約427万回分だそうです。
世界で初めて大量導入するこのレプリコンワクチン、日本政府は誰にどう説明して接種させようとしているのでしょう?