レプリコンワクチンのシェディングは「知見がない」

接種を行う医師はインフォームドコンセントの義務を果たせるのでしょうか。

FNNプライムオンライン(2024/10/4)
「レプリコンワクチン接種者お断り」の貼り紙も…新型コロナ「ワクチン成分が感染」不安の声も専門家・厚労省は「科学的知見ない」


 
10月に入り、検索サイト上で拡散したのは「自己増殖型ワクチン接種者の入店禁止」や「レプリコンワクチンは入店お断り」といったワード。
この「レプリコンワクチン」とは、9月に承認されたばかりの新しいワクチンです。


 

 

 
メッセンジャーRNAが体内で複製され増える自己増殖型メッセンジャーRNAワクチンで、“次世代型ワクチン”とも呼ばれています。
従来のワクチンよりも、少量でより強い免疫反応を得ることができるとされています。


 
一方、このワクチンを巡り、日本看護倫理学会は緊急声明を発表。
そこには「レプリコンワクチン自体が接種者から非接種者に感染するのではないかとの懸念があります」とありました。


 
美容院の検索サイトでも、レプリコンワクチン接種者の入店禁止措置を表示する店が多数ありました。


 
札幌大谷学園も、レプリコンワクチンが今までのワクチンとは全く異なるものであるとして懸念を表明するなど学校にまで波紋が広がっているのです。


 
レプリコンワクチンは、自己増幅型でウイルスのたんぱく質を体内で作り続けるため、ワクチンの効果を比較的長く持続させることができるのが特徴です。

 


 

 
また、福岡資麿厚労相も4日、会見で「ワクチン成分が他者に伝播し健康被害が生じるという科学的知見はなく、こうした内容について厚労省のホームページで周知を行っているところ」と述べました。

 
厚労省のホームページのQ&Aにも、「知見はありません」と書かれています。

厚生労働省
新型コロナワクチンQ&A

レプリコンワクチンは、自己増幅性のあるワクチンとのことですが、体内で無限にウイルスのタンパク質が作られたり、接種を受けた方から他の方にワクチンの成分が伝播することを懸念しています。接種しても問題はありませんか。

体内で無限にタンパク質が作られることはなく、他の方にワクチンの成分が伝播するといった科学的知見はありません。

レプリコンワクチン接種後の細胞内におけるmRNAの増幅は一時的なものであり、無限にウイルスのタンパク質が作られることはありません。

また、現在、色々な国で、新型コロナワクチンのレプリコンワクチンを含め、様々な疾患を対象としたレプリコンワクチンの開発が進められていますが、これまでに、レプリコンワクチンを受けた方から他の方にワクチンの成分が伝播するという科学的知見はありません。

「知見がない」=「分からない」
ワクチンの成分が他人に伝播するかしないは、「分からない」ということです。

そんなことで、レプリコンワクチンの接種を行う医師は、インフォームドコンセントの義務を果たせるのでしょうか。

日本看護協会
インフォームドコンセントと倫理

医療法第1条の4第2項では、「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と示されている。

各方面から様々な懸念が表明されていて、接種すると社会経済活動に影響が生じる可能性もあるワクチンです。
後で問題にならないよう、医師は接種希望者に十分な説明をする必要があるはずです。
本来なら、医師からもっと情報提供を求める声が上がってもいいと思うのですが・・

 
ちなみに、冒頭の報道で霊長類医科学研究センターの方は、
1頭に打った狂犬病のワクチンが、山の群れ全部に感染するような、そんな夢のような話はない。
と述べていますが、


 

 

 
ワクチンを接種した人から接種していない人へ感染するのではないかという不安について、霊長類医科学研究センター・保富康宏センター長は「“感染”という言葉が正しいかどうかは別ですけども、基本的には科学的エビデンスは全くないです。例えば、狂犬病のレプリコンのRNAワクチンを(野生の)オオカミに1頭打っておけば、それが山に帰ったら山の群れが全部、狂犬病ワクチンを打ったオオカミになりますっていうようなそんな夢のような話はないですから」と話し、“ワクチンが感染する”という科学的根拠はないと否定。

「生弱毒化犬パルボウイルスワクチン」では、ワクチン接種を受けた犬から接種を受けていない犬への感染が起きた可能性があるようです。

Carnivore Parvovirus Ecology in the Serengeti Ecosystem: Vaccine Strains Circulating and New Host Species Identified

セレンゲティ生態系における肉食動物パルボウイルスの生態:ワクチン株の循環と新たな宿主種の特定
Several lines of evidence suggest that a modified live vaccine virus was the source of this CPV-2 strain and that, because all the samples used in this study belonged to unvaccinated individuals, transmission from vaccinated to unvaccinated dogs may have occurred.
いくつかの証拠は、改変された生ワクチンウイルスがこのCPV-2株の発生源であり、この研究で使用されたすべてのサンプルがワクチン接種を受けていない個体のものであったため、ワクチン接種を受けた犬からワクチン接種を受けていない犬への感染が起こった可能性があることを示唆しています。

 
一般論として、ワクチンの排出(ワクチンシェディング)は、弱毒生ワクチンのみで発生することになっています。

Does Vaccine Shedding Really Happen?

ワクチンの排出とは、体内でワクチンからウイルス粒子が放出され、仮説上は他者への感染リスクが生じるプロセスです。ただし、ワクチンの排出は、特定の種類のワクチン、つまり弱毒生ワクチンでのみ発生します。

これは、ワクチン由来のウイルス粒子が排出されることを言っているので、弱毒生ワクチン以外では発生しないということだと思います。

気になるのは、mRNAワクチンの場合に、mRNAワクチン特有のもの(産生されたスパイクタンパク質など)がどうなるかです。

以下の論文では、大量のスパイクタンパク質やその断片が循環系に放出され、体中に分布する可能性があると述べています。

Adverse effects of COVID-19 mRNA vaccines: the spike hypothesis

ワクチン接種後、細胞は産生されたSタンパク質(またはそのサブユニット/ペプチド断片)を提示して免疫応答を誘導するか、免疫系(例えば、細胞傷害性T細胞)によって排除される可能性がある。
その結果、産生された破片、またはトランスフェクトされた細胞による抗原の直接分泌(脱落を含む)によって、大量のSタンパク質またはそのサブユニット/ペプチド断片が循環系に放出される可能性がある。
抗SARS-CoV-2ワクチンmRNAを含むLNPは三角筋に注入され、筋肉組織自体、リンパ系、脾臓に効果を発揮するが、肝臓やその他の組織にも局在する可能性があり、そこからSタンパク質またはそのサブユニット/ペプチド断片が循環に入り、体中に分布する可能性がある。

体中に分布するということは、その一部が唾液や汗などに混ざる可能性があるのでしょうか?
そしてレプリコンワクチンの場合は、その量と時間がより多くなる可能性があるのでしょうか?

 
Meiji Seikaファルマも、そのような知見はないと述べていますが、

ミクスOnline(2024/9/26)
Meiji Seika ファルマ・小林社長 コスタイベで非科学的主張くり返す専門家に「厳正に対処」 法的措置も

「レプリコンワクチンは接種した人の呼気や汗から伝播し悪影響をもたらす」とのシェディングの可能性に関する情報に対しては、「mRNAワクチンは生ワクチンなどと異なり、ウイルスの一部(スパイクタンパク)しか使用していないため、感染性のあるウイルス粒子自体を形成することはない。したがってシェディングは起こらないと考えられており、そのような科学的知見は現在あらゆる先行研究にもない」と反論した。

mRNAワクチンの場合は、ウイルス粒子の代わりになるのが、スパイクタンパク質です。
スパイクタンパク質のシェディング(排出)はあるのか、ないのか。
さらに、ワクチンの成分や細胞内で増殖したmRNAなどの排出はあるのか、ないのか。
知見がないなら、Meiji Seikaファルマさんが自ら知見を得る必要があると思うのですが・・