マイナ免許証、行政にとってのメリットは何だ?
行政にとってメリットがあるから導入するはずです。
読売新聞(2024/10/29)「マイナ免許証」、来年3月24日に運用開始…切り替えは任意・チップに有効期限など入力
日本経済新聞(2024/10/29)
政府は29日、運転免許証とマイナンバーカードを一体化させる「マイナ免許証」の運用を来年3月24日に始めることを閣議決定した。マイナ免許証への切り替えは任意で、運用開始後も従来の免許証は利用できる。
マイナ免許証、25年3月導入を閣議決定 更新の負担軽く
マイナ免許証は自治体で住所変更の手続きをすると、本人の同意に基づき警察庁のシステムに変更内容が反映されワンストップで済む。免許更新時の講習はオンラインで受けられる。写真撮影や視力検査は引き続き免許センターなどで実施する。
国民にとってあまりメリットのない「マイナ免許証」ですが、行政にとってのメリットは何なのでしょう?
もし、住所変更のワンストップ化や講習のオンライン化が、本当に行政の効率化になるのであれば、現在の免許証でもやるべきだと思います。
現在の運転免許証にもICチップが入っているので、やろうと思えばできるはずです。
現在の免許証でやらないのは、行政にとってあまりメリットがないからでしょう。
また、現在の免許証を廃止できない以上、警察業務の現場では、現在の免許証とマイナ免許証の両方に対応しておく必要があります。
東京新聞(2024/10/22)マイナ一体化、健康保険証は廃止なのに運転免許証は存続? 政府方針でも廃止しない警察庁の言い分は
国会答弁で、警察庁は従来の免許証を廃止しない理由を3つ挙げていた。
1.海外で運転する際に従来の免許証の提示を求められる国がある
2.運転免許試験に合格してもマイナンバーカードを保有していない人がいる
3.警察官がマイナ免許証の情報を読み取る携帯端末が山間部などで電波が通じないこともある
単純に考えて、カードリーダーがないと免許の内容が分からないマイナ免許証は、現在の免許証より不便になることは容易に想像できます。
マイナ免許証の導入は、現場の警察官にとっても、あまりメリットがあるようには見えません。
おそらく、マイナ免許証の導入は、もっと違う所に目的がありそうな気がします。
政府のデジタル社会の実現に向けた重点計画
に、以下のように書かれています。
マイナンバーカードと運転免許証との一体化の実現
令和6年度(2024年度)末にマイナンバーカードとの一体化を開始する。これに先立ち、警察庁及び都道府県警察の運転免許の管理等を行うシステムを令和6年度(2024年度)末までに警察庁が整備する共通基盤(警察共通基盤)上に集約する。
警察庁は、都道府県毎に別々だった警察のシステムを、「警察共通基盤」に集約する作業を行っています。
警察庁警察における情報システムの合理化・高度化
警察庁では、平成30年度以降、警察庁及び各都道府県警察の従来のシステムを集約・統合しつつ、個々のシステム同士の連携を容易にするなどの構想を実現するため、情報システムの在り方について検討を進め、令和3年4月、警察共通基盤の運用を開始した。
令和5年1月には運転者管理システムが、令和5年3月には遺失物管理システムが、それぞれ一部の都道府県警察において警察共通基盤に移行しており、今後、全国的に警察共通基盤への移行が進められていく予定である。さらに、その他のシステムについても警察共通基盤への移行に向けて検討を進めている。
マイナ免許証の導入によって、その警察共通基盤の運転者管理システムと、マイナカードの情報を管理しているJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)のシステムが、連携するようになります。
つまり、警察のシステムとマイナカードのシステムがデジタル的に接続されるということです。
それこそ、マイナ免許証導入の本質ではないでしょうか。
警察は全国民のマイナンバー(カード)に紐づいた個人情報を手に入れることができます。
犯罪捜査などの目的のために警察がマイナンバーを利用することは、従来から可能だったようですが、システムが連携することによって、作業を大幅に効率化することが可能になると思われます。
警察のシステムに保存されている様々な個人にまつわる情報と、マイナンバー(カード)に紐づいた全国民の情報が連携すると、おそらく日本で最強の国民データベースが出来上がることになります。
警察情報管理システムの合理化・高度化に関する調査研究業務実施報告書
警察庁に175万件のDNA型データ 曖昧さ残る抹消規定
警察庁が容疑者のDNA型データベースの運用を開始したのは2005年。登録件数は増加しており、警察庁のまとめでは、23年末時点で約175万件に上る。DNA型鑑定による個人識別の精度も向上しており、「究極の個人情報」とも指摘される。
また、指紋は約1166万件、顔写真は約1259万件がデータベースに登録されている。
マイナンバー(カード)に紐づいた情報には、医療情報や、税務情報、金融情報などもあります。
それらの情報は、すでに警察にも流れているかもしれません。
マイナ免許証の導入は、実は警察にとって多大なメリットがあるのかもしれません。
ちなみに、外国人の在留カードもマイナカードに一体化することが予定されています。
「外国人在留+マイナンバー」一体の新カード発行へ
政府は2025年度にも中長期で日本にいる外国人の在留カードとマイナンバーカードを一体にした新たなカードの発行を始める。複数のカードを持たなくても双方の機能を使えるようにし、役所の事務負担も軽減する。必要なシステムの改修後に希望する外国人から受け付ける。
日本にいる外国人は、在留カードやパスポートを常に携帯することが義務付けられていて、警察官等から提示を求められた場合は、提示しなければなりません。
おそらく、今後、街の警察官は、マイナカードの読み取り機を携帯するようになると思います。
当然、日本人のマイナカードを読み取ることもできるでしょう。
政府はマイナカードをパスポートにしようとしています。
将来、外国人の在留カードやパスポートの携帯義務と同様、日本人はマイナカードの携帯が義務化されるかもしれません。
要注意だと思います・・