老後4000万円問題
日本の景気低迷の根底にある問題のような気がします。
産経新聞(2024/11/17)インフレで老後資金は4000万円必要? 5年前は2000万円と言われていたのに
物価の上昇で、65歳以降30年間生きる老後資金の必要額は、5年前に想定された2000万円から約4000万円に倍増するとの試算も飛び出した。インフレで老後資金はどう変わるのか。老後資金を4000万円とはじき出したファイナンシャルプランナー(FP)の山崎俊輔氏は、この数字は強い注意喚起だと話す。
総務省による平成29年の家計調査で、年金暮らしの夫婦(高齢無職)世帯の収支は月約5.5万円の赤字だった。金融庁は令和元年、この不足額の30年分を計算して約1980万円と示し、老後の備えは2000万円が目安とされた。
しかし、仮に年3.5%の物価上昇が続くとすると、2000万円の老後の必要資金は20年後に3980万円に膨らむというのが山崎氏の指摘だ。5年度の消費者物価の平均上昇率(総合指数)は3%で、4%台を記録した月もあった。
将来に備えて少額投資非課税制度(NISA)などで資産形成する人は増えた。ただ、複数のFPによると、運用期間に余裕のある若い世代は「出せる分」で積立額を決めると見直さず、物価上昇に合わせて資産形成目標を上方修正する感覚が薄いという。
物価上昇は期間が長いほど影響が跳ね上がる。若い世代にとって一番効いてくるのが老後だ。それだけに老後の必要資金は倍増もあり得るぐらいの認識で、デフレに慣れた「マインドセット(考え方や価値観)を切り替えないといけない」(山崎氏)。
この記事のように、老後の不安を煽れば煽るほど、金融業界は儲かるのかもしれませんが、日本全体の経済にはマイナスではないでしょうか。
最近は「NISA貧乏」という言葉もあるようです。
DIAMOND online (2024/5/13)NISA貧乏まっしぐら!手取り55万円の共働き夫婦「毎月5万円積立」で大ピンチに青ざめたワケ
ここ最近、お子さんの成長を感じるにつれ、教育費や老後資金などを不安に思うようになりました。何とかしてお金を貯めたい、資産を増やしたいと考えているときに、目にしたのがNISA。長期投資でお金を増やせる、インフレ対策にもなると聞き、毎月5万円で投資を始めました。
Bさんにはある問題がありました。投資に充てる毎月5万円のお金が、家計から出せないのです。そこで「まずは、これまでの生活でできた預貯金から出していくことにした」と、当然のように話しています。
この記事のように、かなり無理して積立投資を始めた人も少なくないようです。
そのような人は節約志向が強まり、消費を減らすことになるでしょう。
そもそも、多くの国民が老後資金のことを心配しながら生活しなければならないようにした日本政府の責任は重大だと思います。
昭和の高度経済成長の時代は、いわゆる普通の中間層の人は、退職金(+預金利息)と年金で問題なく老後の生活を送れていたと思います。
なので、現役時代に老後の心配をする必要はなかったと思います。
老後のために、投資信託を調べるとか、運用成績を気にするとか、そんな事に時間と労力を使う必要はなかったはずです。
ところが、プラザ合意に起因するバブルの発生と崩壊、製造業の海外流出による国内空洞化、そして非正規労働者の拡大によって、日本の経済も国民も痛めつけられてしまいました。
アメリカからの強い圧力もあったようですが、これらが日本経済を衰退させる要因になったことは間違いないと思います。
80年代後半以降のこれらの出来事は、2度目の敗戦と言ってもいいのではないでしょうか。
日本の強みだった「分厚い中間層」は過去のものとなり、経済は成長しなくなり、国民の老後の事は、国も企業もどんどん自己責任の方向に持っていきました。
政府はiDeCoやNISAを積極的に推進していますが、それは裏を返せば、国が国民の老後に責任を持てなくなったということです。
金利のない時代になり、資金運用のプロでも儲けるのが難しくなったのでしょう。
運用のプロが責任を放棄したことを、国民に自己責任でやらせるのが、iDeCoやNISAだと思います。
老後の心配を軽減するためには、個人が投機のマネーゲームで勝つ必要があります。
そのため、日々、運用の損失を心配することになります。
金融業界の人は長期・積立・分散でやれば大丈夫と言っているようですが、だったら、なぜ政府は個人にやらせるのでしょう?
個人が少額でやるより、国がまとめて運用した方が、ずっと投資効率がいいはずです。
ついでに言えば、政府が金融業界とグルになって、投資初心者の国民をカモにしている可能性すら感じます。
どれもこれも、国民の老後の不安が強くなることばかりだと思います。
真面目な日本人は節約志向が強くなり、景気が良くならないのも当然かもしれません。
これら全ては、日本政府が国民より業界やアメリカの意向を優先してきた結果だと思います。
日本政府の責任は重大だと思います。
ここで1つアイデアがあります。
これまで日本の企業は人件費を抑制して、内部留保を増やしてきたようです。
本来、従業員に支払うべきお金を内部留保にしてきたのであれば、それを政府が徴収して、年金財源に充てればいいのではないでしょうか。
完全に没収すると反発が大変かもしれないので、国債と交換すればいいと思います。
600兆円あれば、年金の賦課方式を積立方式に移行する費用を賄えるかもしれません。
現代ビジネス(2023/10/25)今より年金の受給金額が少なくなる…?「積立方式」移行で起こるヤバいリスク
積立方式に完全に移行できるまでは、賦課方式での保険料を誰かが負担する必要があり、その総額は数百兆円に達すると予想される。仮に保険料の不足分が600兆円、移行期間が40年と仮定しても、毎年15兆円の負担増だ。
年金が積立方式になれば、若者の不公平感が解消でき、年金制度に対する信頼度が上がり、国民の将来不安の軽減にもつながるのではないでしょうか。(ただし、受給額が賦課方式より減らないようにする工夫は必要)
発行した国債は、企業間で自由に売買できるようにして、数十年から数百年かけてゆっくり返していけばいいと思います。
いずれにせよ、将来不安、老後不安は、日本の景気低迷の根底にある問題のような気がします。
国の財政を改善するためにも、少子化に歯止めをかけるためにも、とにかく景気を良くすることが必要だと思います。
年金制度は、小手先の変更ではなく抜本的な改革が必要です。
将来の見通しが立てられるように、恒久的に信頼できる制度であることも重要だと思います。
でも、、
年収の壁すらなかなか解消できない今の政府には、期待できませんね・・
日本政府が本気で国民のための政策を実行できないのが、日本の最大の問題かもしれません。
2025年になったらトランプ2.0が始まるようですが、アメリカの景気も気になります。
イーロン・マスクは政府支出を300兆円削減するそうです。
いったい何人の公務員が解雇されるのでしょう?
アメリカの景気は、当然日本にも影響するはずです。
日本の景気はどうなるのでしょうか・・
ちなみに、
今回のブログを書いていたら、将来の不安がますます強くなってきました・・
いろいろ作戦を考える必要がありそうです。
このブログはしばらく更新を休止するかもしれませんが、ご了承ください。