マイナンバーカードのコンビニ証明書交付サービス、富士通Japanに停止要請
政府はどこまで厳しく対応できるのでしょう?
NHK NEWS WEB (2023/5/9)マイナカード コンビニの証明書交付システム 一時停止を要請
河野デジタル大臣は、マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しなどの証明書を交付するサービスで、運営会社に対し、システムの一時停止を要請したことを明らかにしました。自治体の間で別人の証明書が発行される不具合が相次いでいることを受けたもので、原因の調査を進めるとしています。河野デジタル大臣は9日の閣議の後の記者会見で、原因はシステムの不具合だとして、原因の調査や再発防止のため運営会社に対し、システムを一時停止するよう要請したことを明らかにしました。
このシステムは、富士通の子会社が運営し、全国およそ200の自治体が使っていて、デジタル庁は、停止する時期や期間については、自治体ごとで異なるとしています。
政府(デジタル庁)は富士通(Japan)に対して、どこまで厳しく対応できるのか、大いに気になるところです。
富士通といえば、ITゼネコンの1社です。
DIAMOND onlineITゼネコンの巣窟 デジタル庁
日本は世界でも稀有なIT丸投げ大国だ。
1990年代以降、官公システムの構築は、NTTデータや御三家(富士通、NEC、日立製作所)などを頂点とする重層下請け構造「ITゼネコン」に依存し続けてきた。
J-LIS(地方公共団体情報システム機構)の令和4年度の契約実績を見てみると、211件中32件の契約に「富士通」が入っています。
J-LIS 令和4年度契約実績の公表(令和5年3月31日現在)
その全てが随意契約で、随意契約とした理由が同じです。
随意契約によることとした理由
(2) 契約の性質又は目的が競争入札に適しない次に掲げる場合
キ
既に調達をした物品等(以下「既調達物品等」という。)又は既に契約を締結した役務(以下「既契約役務」という。)につき、交換部品その他既調達物品等に連接して使用する物品等の調達をする場合又は既契約役務に連接して提供を受ける同種の役務の調達をする場合であって、既調達物品等又は既契約役務の調達の相手方以外の者から調達をしたならば既調達物品等の使用又は既契約役務の便益を享受することに著しい支障が生ずるおそれがあるとき。
現実問題として、システムの改修やソフトの更新などは、最初にそのシステムやソフトを開発した企業に発注せざるを得ない。というのはあると思います。
だから、こういう事も起こるわけです。
日経XTECH(2002/2/8)「安値入札」で富士通にも公取委が警告
公正取引委員会は2月7日,富士通に対して,官公庁のシステム調達案件の安値入札が,独占禁止法に違反するおそれがある,として警告を行った。警告を受けたのは,昨年11月の日立製作所に続き2社目。富士通は「深く反省し,再発防止に向けた対応を進める」というコメントを発表した。
警告の対象となった入札案件は,昨年9月21日に行われた,金融庁の「申請・届出等手続をオンライン化するためのシステム及び総合的文書管理システム一式の購入」で,富士通が303万円で落札した。
システムでもソフトでも、一度入れてしまえば、長期に渡って利益を得られる可能性が非常に高いです。
そして、それが利権となって、結局コストは上がり、品質は下がる。
ということになってしまうのだと思います。
今回のコンビニのシステムも、大なり小なり、その辺の事情が影響しているのではないでしょうか。
はたして、政府はどこまで厳しく対応できるのでしょう?