マイナ保険証、別人の顔で顔認証できてしまった
顔認証の実際の精度は検証されているのでしょうか?
日刊ゲンダイ(2023/6/23)マイナカードのあり得ない“欠陥”システム!「なりすまし防止」どころか「誰でも顔認証」の大問題
全国保険医団体連合会全国保険医団体連合会(保団連)が21日、マイナ保険証をめぐるトラブルについて会見。マイナ保険証のオンライン資格確認システムを導入した医療機関の65%が、保険証を読み取れないなどのトラブルを経験したとの調査結果を発表した。
保団連の竹田智雄副会長は会見で、マイナ保険証をカードリーダーで読み込んで本人確認をする際に「他人の顔認証でも認証できるケースが複数報告されている」と指摘。実際、千葉県保険医協会によれば、「ある医療機関がオンライン資格確認を導入するにあたり、スタッフ同士で顔認証を試したところ、マイナカードの所有者本人ではない人が認証されてしまった」(事務局)という。
【記者会見6.21】10000医療機関が回答 マイナ保険証 トラブルが止まらない
(4)「顔認証不具合、カードリーダーが使えない」が続出
マイナ保険証や顔認証付きカードリーダーの不具合では、「顔認証付きカードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証の読み取りができなかった2660件(48.4%)」「マイナ保険証の不具合(ICチップの破損等)で読み取りができなかった1101件(20.0%)」となった。
「顔認証付きカードリーダーでうまく認証できない」、「顔認証付きカードリーダーが起動しない」、「電子カルテやレセプトコンピュータが稼働しなくなった」などトラブルが多く、システムベンダーでも原因が特定できず対処できないケースが増加している。
発熱外来時に動線分離が必要なため、窓口に設置された顔認証付きカードリーダーが使用できない。(5)手間の増加、誰でも顔認証できる
顔認証付きカードリーダー(エラーが出れば4桁の暗唱番号)が必要とされるが、顔認証が困難な患者も多く暗唱番号も失念されている方も多い。
画像認証の制度が原因かマイナカード作成時の顔写真データの解像度が原因か不明だが、他人の顔認証でも認証できるケースも複数報告されており、本人確認の根幹に関わる問題として対処が必要である。(誰でも顔認証問題)
マイナ保険証の顔認証は、以前からSNS等でも「認証できない」という声が上がっていましたが、改めてそれが確認されたことになると思います。
マイナ保険証の「顔認証付きカードリーダー」の顔認証の精度の仕様は、このようになっています。
誤合致率(本人と異なる顔が、同じ顔と判断される確率):0.01%の時に
誤非合致率(本人の顔が、異なる顔と判断される確率):0.6%以下
この数値がそのまま実現されているとすると、
1万分の1の確率で別人が認証されて、
167分の1以下の確率で本人が認証されない。
ということになります。
実際の医療現場の認証の確率はどうなのでしょう?
保団連の調査では、顔認証付きカードリーダーまたはパソコンの不具合によりマイナ保険証の読み取りができなかったのが48.4%ということですが、その中で顔認証ができなかった割合がどの程度か気になります。
顔認証の精度は、比較対象の顔写真の画質等にも左右されると思われますが、マイナンバーカードの顔写真の条件は、かなりアバウトです。
使ったカメラや撮影時の状況(明るさなど)によっても、認証の精度が変わってくるのではないでしょうか。
そもそも、「やむを得ない理由がある方」は、顔認証をどうすることになっているのでしょう?
カードリーダーによる認証精度の違いも気になります。
政府は、マイナ保険証の顔認証が、実際の医療現場で本人確認の手段として本当に使い物になるのか、医療機関と患者に十分なメリットがあるのか、検証すべきだと思います。
そして、券面のOCRの問題 も含めて、マイナ保険証の顔認証の扱いを考え直す必要がありそうな気がします。