消費税にまつわる国家的デマ「消費税は預かり金」の大ウソ(その6)

独禁法に抵触する可能性のある企業は、どんどん取り締まって公表した方がいいのではないでしょうか。

読売新聞(2023/9/30)
インボイス 「取引停止」など予定15% 県内企業調査 個人事業者へ影響も

消費税の「インボイス(適格請求書)制度」が10月に始まった後、「免税事業者とは取引しない」「取引価格を引き下げる」と回答した県内企業の割合が計15・1%に上ったことが、東京商工リサーチ山形支店の調査でわかった。

調査は8月1~9日、インターネットで行い、個人事業者などを除く、県内に本社を置く76社が回答した。制度開始後の免税事業者との取引方針を尋ねたところ、回答した73社中39社(53・42%)が「これまで通り」と回答したのに対し、9社(12・33%)が「免税事業者とは取引しない」、2社(2・74%)が「取引価格を引き下げる」とした。「検討中」と回答した企業も23社(31・51%)に上り、同支店の担当者は「検討中の企業の半分以上は、取引停止や取引価格の引き下げに傾くとみられ、小規模事業者や個人事業者への影響が懸念される」と話した。

特に、「取引価格を引き下げる」といった行為は、消費税の趣旨にも反するのではないでしょうか。

税制改革法(昭和六十三年法律第百七号)

(消費税の円滑かつ適正な転嫁)
第十一条 事業者は、消費に広く薄く負担を求めるという消費税の性格にかんがみ、消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする。

消費税は、「消費に広く薄く負担を求める」となっています。
つまり、消費税の負担は消費者の方向に転嫁する必要があるはずです。
免税事業者に対して取引価格を引き下げるのは、仕入れの方向、つまり消費とは逆の方向に消費税の負担を転嫁している可能性があると思います。

免税事業者に対する「取引価格の引き下げ」は、独禁法の抵触だけでなく、税制改革法の「消費税の円滑かつ適正な転嫁」に反する行為にもなるのではないでしょうか。

 
政府はインボイスに関して「何年も説明してきた」つもりらしいです。

テレ朝news(2023/9/29)
岸田総理 インボイス対応「何年も説明してきた」

岸田総理大臣:「インボイスへの対応、複数税率が決定してから4年間にわたって様々な準備を進め、そして説明を続け、これまで何もしていなかったのではなくして、何年にもわたってその対応を考え説明を続け、そして今日に至ったということであります」

これまで、政府(国税庁)がいろいろやっていたのは分かりますが、重要なことは、それで国民が正しく理解したかどうかだと思います。

政府がいくら「説明という行為」を行ってきたとしても、国民が正しく理解していなかったら、それは単なる政府の自己満足です。

そもそも、インボイス以前に、「消費税」のことを国民が正しく理解できるように説明する必要もあると思います。

相変わらず、マスコミは「預かり金デマ」や消費税が預かり金だと誤解するような説明を流布しています。


産経新聞(赤字・赤線は筆者が追記)


読売新聞(赤字・赤線は筆者が追記)


毎日新聞(赤字・赤線は筆者が追記)


朝日新聞(赤字・赤線は筆者が追記)

朝日新聞の説明は、間違ってはいないかもしれませんが、代金の下の「うち税XX円」は、消費税が預かり金だという誤解を招く書き方だと思います。
特に免税事業者に払う代金の「うち税XX円」は、意味のない誤解を招くだけの表記です。
納税額は、消費税法に則って、代金の10/110だと分かるように書くべきだと思います。

 
今起きているインボイス騒動は、そもそも消費税がどういうものかについて、政府とマスコミが正しい説明をせず、デマを助長してきたことも一因になっている気がします。

独禁法に抵触する行為や免税事業者に対するネコババ批判なども、消費税についての正しい理解が国民にあれば、ほとんど無かった可能性もあるのではないでしょうか。

 
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