Jアラートはオオカミ少年か?(その2)
ミサイルと人工衛星は区別できないようです。
産経新聞(2023/11/21)北朝鮮がミサイル発射か Jアラートで避難呼び掛け
毎日新聞(2023/11/21)
防衛省は21日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと発表した。5月と8月に失敗した「軍事偵察衛星」の再打ち上げとみられる。政府は沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令し、避難を呼びかけた。
北朝鮮は日本の海上保安庁に対し、22日午前0時から12月1日午前0時の間に「人工衛星」を発射すると通知していた。
沖縄にJアラート 住民に避難呼びかけ 北朝鮮ミサイル発射
読売新聞(2023/11/22)Jアラートの対象地域となった沖縄県内では21日午後10時46分、消防庁から携帯電話端末の緊急速報メール(エリアメール)で「ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」と住民に建物や地下への避難を呼びかける通知があり、防災無線も鳴り響いた。
午後11時15分には、エリアメールで「ミサイル通過。先ほどのミサイルは22時55分ごろ、太平洋へ通過したものとみられます」と避難の呼びかけを解除する通知があった。
北朝鮮がミサイル発射、沖縄付近を通過・軌道投入は確認されず…「人工衛星」予告期間直前に
BBC NEWS JAPAN (2023/11/22)政府は21日、北朝鮮が同日午後10時43分頃、同国北西部・ 東倉里トンチャンリ から南方向に弾道ミサイル技術を使用した発射を行ったと発表した。人工衛星の発射とみられ、沖縄本島と宮古島の間の上空を太平洋へ通過した。ミサイルは分離し、一つは同57分頃、日本の排他的経済水域(EEZ)外の予告落下区域内に落下した。防衛省は22日未明、地球周回軌道への衛星投入は確認されていないと発表した。
北朝鮮、「軍事偵察衛星」の打ち上げに成功と発表 沖縄上空通過で一時避難呼びかけ
テレ朝news(2023/11/23)北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は22日、軍事偵察衛星の打ち上げに成功したと報じた。同国は21日午後10時43分ごろ、北西部・東倉里から飛翔(ひしょう)体を発射した。
KCNAは国家航空宇宙技術総局の話として、中国との国境に近い「西海(ソヘ)衛星発射場」から軍事偵察衛星「万里鏡1号」を打ち上げ、正確に軌道に進入させることに成功したと伝えた。
北朝鮮“軍事偵察衛星”打ち上げ「軌道進入」と評価か 米宇宙軍が衛星番号を付与
読売新聞(2023/11/24)北朝鮮が打ち上げた「軍事偵察衛星」にアメリカ軍が衛星番号を付けたことが分かりました。
アメリカ宇宙軍第18宇宙防衛隊が運営する人工衛星の追跡サイトによりますと、北朝鮮が21日に打ち上げた軍事偵察衛星の「万里鏡1号」に衛星番号「58400」、識別番号「2023"179A」が付与されているのが確認できます。
地球を1周するのにかかる周期は「94分67秒」、軌道の傾斜角は「97.43度」、地上からの高度は約500キロ前後となっています。
木原防衛相、北朝鮮の「人工衛星」発射で「何らかの物体が地球を周回していることを確認」
木原防衛相は24日午前の記者会見で、北朝鮮による21日の「人工衛星」発射について、「何らかの物体が地球を周回していることを確認した」と明らかにした。打ち上げが成功したかどうかに関しては、「北朝鮮が意図した軌道を周回し、機能を果たしているかは、引き続き慎重な分析が必要だ」と述べ、明言を避けた。
衛星追跡サイトでは、「万里鏡1号」の位置が分かるようになっています。
今回分かったのは、ミサイルでも人工衛星でも、北朝鮮から発射されるとJアラートが鳴るということです。
北朝鮮が衛星を発射したのが21日の22時43分頃だとすると、その約3分後にJアラートが発令されたことになります。
Jアラートのシステム改修によって、今年の9月から従来より迅速にJアラートを発令できるようになりましたが、その代わりに正確性は犠牲になっているようです。
① 発射情報の送信の迅速化
アラートは、防衛省から内閣官房へ、発射推定時刻、発射推定位置、落下予測地点及び地域等のミサイル関連情報がもたらされる中で、その情報から導き出される、ある程度の幅を持った予測飛翔範囲の下にある都道府県に送信しています。
これまでのシステムでは、落下予測地域が相当程度確定的になってから送信を行っていましたが、今後は、避難の時間を確保する観点から一定の蓋然性が確保された段階で送信を行うこととします。
おそらく、発射直後のまだミサイルか人工衛星かを区別できない時点で、Jアラートを発令するようになっていると思われます。
朝日新聞(2023/6/16)北のミサイル発射、「早い期間」ロケット予告も 防衛省に難しい判別
防衛省・自衛隊「発射された時は、それが衛星を意図したのか、弾道ミサイルなのか、その瞬間には判別できる状況ではない」
自衛隊制服組トップの吉田圭秀(よしひで)統合幕僚長は今月9日の会見でそう述べ、ロケットかミサイルかは初期の段階では判断できないとの認識を示した。
弾道ミサイルと人工衛星打上げロケットについて
一般的に、弾道ミサイルは放物線を描いて飛翔し、目標地点に弾頭を誘導するが、衛星打上げロケットは、一定の高度にまで到達させた後、平坦な軌跡をとり、所要の速度(例えば、高度約200kmの地球周回軌道であれば、秒速約7.8kmであり、高度約700kmであれば秒速約7.5km)以上を与え人工衛星を地球周回軌道に投入するという飛翔形態の違いがある。
ちなみに、今回のJアラートで実際に避難した人は何人いたのでしょう?
深夜にJアラート、沖縄で一時避難呼びかけ 「想定外のタイミング」
那覇市中心部では21日午後11時ごろ、防災行政無線からサイレンが鳴り響き、「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます」と避難の呼びかけがあった。車や人通りは通常通りだった。
北朝鮮は今後も衛星の打ち上げを計画しているようです。
NHK NEWS WEB (2023/11/22)北朝鮮 “軍事偵察衛星” 「12月から正式に偵察任務着手」
また、韓国や太平洋周辺地域での軍事動向を把握するため、今後、より多くの偵察衛星を打ち上げる方針を強調していて、12月に予定されている朝鮮労働党の会議で来年の打ち上げ計画を決定するとしています。
このままでは、Jアラートはオオカミ少年になってしまうかもしれません・・
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