密告制度まで持ち出したマイナ保険証への強制移行

あらゆる手を使ってプレッシャーをかけてきます。

日刊ゲンダイ(2023/12/23)
「マイナ保険証」一本化へまた超愚策…医療機関が「紙」提示求めたら国への“密告”呼びかけ


 
来年(2024年)12月2日に現行の健康保険証を廃止し、新規発行を停止することが22日、閣議決定された。マイナカードを使ったマイナ保険証に一本化される。

この決定を受け、河野太郎デジタル相が会見。医療機関にマイナ保険証の利用を積極的に患者に勧めるように求め、驚くべき“普及策”を披露した。
「病院や薬局などで『紙の保険証を持ってきてほしい』と言われ、マイナ保険証を利用できなかったとの問い合わせがある」と、まるで医療機関がマイナ保険証の利用を妨げているような言い方をした上で、「マイナ保険証は一部の例外を除いてすべての医療機関と薬局で受け付けることが義務化されている。利用できなかった場合は、マイナンバー総合フリーダイヤルにご連絡をいただきたい。厚労省に情報提供し、厚労省が医療機関に事情を確認することになる」と、国への“密告”を呼びかけたのだ。

東京新聞(2023/12/22)
「紙の保険証を」と言われたら国に連絡を…河野デジタル相が呼びかけ 医療団体「許せない」 マイナ保険証巡り

河野太郎デジタル相が22日、記者会見で、マイナ保険証が使えない医療機関についての国への報告を求めるかのような発言をし、医療団体の反発を招いている。医療機関側が「紙の保険証」の提示を求める背景には、マイナンバーカードと一体化したマイナ保険証を巡るトラブルが続く現状があるからだ。

この発言に対し、保険証廃止に反対している全国保険医団体連合会(保団連)の事務局担当者は「マイナ保険証で資格無効となるなどトラブルが頻発しているため、医療機関側は保険証の提示を求めている。それを不当な行為のように国に通報し、監督官庁から是正させると受け取れる発言で、断じて許せない」と話している。

システムの不具合や不完全な状況については棚に上げて、医療機関の負担に対する配慮もなく、とにかくプレッシャーをかけて強引に進めるやり方には、大いに疑問を感じます。

まあ、経済界の要求には逆らえないのでしょう。

東京新聞(2023/8/15)
新浪剛史氏「納期を守るの重要」マイナ保険証後押しが波紋 桜を見る会、サントリー不買運動まで蒸し返され…

マイナンバーカード一体化保険証(マイナ保険証)普及のため、岸田文雄政権がかたくなに守る来年秋の保険証廃止。この問題で、経済同友会の新浪剛史代表幹事が、廃止時期を「納期」だとして、「納期を守るのは日本の大変重要な文化」と発言、波紋を広げている。

納期発言は6月28日の記者会見で飛び出した。会見冒頭で、新浪氏は「質問があるだろうなと思って」と持論を語り始めた。
「デジタル社会においてマイナンバーはインフラ中のインフラ」と訴え、「ミスがあるからやめましょうとかやっていたら、世界から1周、2周遅れのデジタル社会を取り戻すことはできない」と強調。政府が健康保険証の廃止を目指す2024年秋を「納期、納期であります」と位置付け、「民間はこの納期って大変重要で、必ず守ってやり遂げる。これが日本の大変重要な文化でありますから、(政府は)ぜひとも保険証廃止を実現するよう、納期に向けてしっかりやっていただきたい」と、納期という言葉を連呼した。

 
政府はマイナ保険証への強制移行の意義について、「質の高い医療が提供できる」と主張しています。
(以前は「なりすましの防止」も言っていた気がしますが、それは言えなくなったのでしょうか?)

NHK NEWS WEB (2023/8/9)
マイナ保険証 河野デジタル相“質の高い医療提供できる”

来年秋に今の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化させる方針をめぐり、河野デジタル大臣は、病院間での受診履歴の共有などを通じ、質の高い医療が提供できるようになると意義を強調し、重ねて理解を求めました。

「受診歴を病院やクリニックと共有し、薬の重複投与などを防ぐことができる。ワンクリックで患者の情報が電子カルテに転記され、ミスもなくなる」と述べ、質の高い医療が提供できるようになると強調し、重ねて理解を求めました。

マスコミも政府の主張を代弁しています。

産経新聞(2023/6/12)
マイナ保険証 医療の質と効率性高めよ

医療や介護のサービスを効率的に提供し、患者らの利便性を高めるにはデジタル化の加速が欠かせない。マイナ保険証の活用は、これに資する意義を持つ。

メリットは、医療機関や薬局が患者の同意の下で、過去の薬剤の処方歴や生活習慣病健診(特定健診)の結果などを閲覧できることだ。これにより薬の重複投与や重複検査が減れば、医療の質の向上や医療費抑制につながる。

実は、これらの「医療の質や効率の向上」で重要なのは、「マイナ保険証」ではなく、「オンライン資格確認」です。


オンライン資格確認でできること(2023年4月14日更新)

患者の持参したマイナンバーカードでの同意のもと、診療情報・薬剤情報・特定健診等情報の閲覧ができるようになり、より多くの情報を元にした診療や服薬指導を行うことができます。
ということですが、ここでマイナンバーカードが必要な理由は、「患者の同意を取得するため」だけです。


病院・診療所向けオンライン資格確認等システム運用マニュアル(R5/11/30 2.7版)

逆に言えば、他の方法で患者の同意を取得すれば、マイナンバーカードは必要ありません。
運用マニュアルには、書面で同意を取る方法も記載されています。


病院・診療所向けオンライン資格確認等システム運用マニュアル(R5/11/30 2.7版)

従来の保険証でも、QRコードを付ければマイナ保険証と同様の事はできそうですが、マイナカード利権が維持できなくなる可能性があるからやらないのでしょう。
(参考)従来の保険証の問題はQRコードで9割解消できる

 
政府は、とにかく「マイナ保険証」と「オンライン資格確認」をごっちゃにして、国民にマイナ保険証を使わせようとしています。
(参考)マイナ保険証とオンライン資格確認をごっちゃにするな!(その3)

マイナンバーカードは国民をデジタル管理・監視する上で重要なツールですが、マイナ保険証によって個人の様々な健康情報を効率よく収集・連携させることができます。


Personal Health Record(PHR)の進捗について

全国の医療機関で収集された国民の健康情報は、その分野の企業にとって宝の山になる可能性があります。
経済界がマイナ保険証の導入にこだわる理由は、その辺にもありそうです。

今後は国民のゲノムデータも収集・連携していく可能性があります。


製薬企業における健康医療データの利活用に関する期待と課題

学校では校務支援システムに健康情報を取り込む計画のようです。


文部科学省

校務支援システムに入るということは、成績や不登校などの情報とも連携される可能性が出てきます。
そのデータは一生消えずに、本人の知らない所で第三者に参照されるかもしれません。
就職や進学などでの影響が気になります。

今後生まれてくる子供達は、一生涯のあらゆる個人情報が政府に管理・監視され、官民に利用されることになりそうです。

 
政府は着々と進めています・・