マイナンバーカード実質義務化 第2弾か?

マイナ保険証が第1弾だとしたら、これは第2弾ということでしょうか。

毎日新聞(2023/6/6)
新マイナカード、26年にも導入へ セキュリティーを強化

政府のデジタル社会推進会議は6日、セキュリティー機能を高めた新しいマイナンバーカードを2026年にも導入する方針を決めた。また、マイナカードのトラブルが相次いでいることを受け、「万全の対策」を実施することも打ち出した。
今後取り組む施策をまとめた重点計画の改定案に盛り込んだ。会議の議長を務めた岸田文雄首相は「国民が安心してデジタル社会のメリットを享受できるよう重点計画を着実に実行してほしい」と関係閣僚に指示した。

一方で改定案には、銀行口座の開設などオンラインでの本人確認について、原則としてマイナカードに一本化することも盛り込まれた。

気になったのは、最後の一文です。

銀行口座の開設などオンラインでの本人確認について、原則としてマイナカードに一本化することも盛り込まれた。

デジタル庁の資料を見ると、しれっと書かれています。


第4回デジタル社会推進会議(資料1-1)


 

資料1-3:デジタル社会の実現に向けた重点計画(案)

犯罪による収益の移転防止に関する法律、携帯音声通信事業者による契約者等の本人
確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(携帯電話不正利用防止
法)に基づく非対面の本人確認手法は、マイナンバーカードの公的個人認証に原則として
一本化し、運転免許証等を送信する方法や、顔写真のない本人確認書類等は廃止する。対
面でも公的個人認証による本人確認を進めるなどし、本人確認書類のコピーは取らないこ
ととする。  

「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が対象としている事業者は、
銀行、保険会社、証券会社、貸金業者、不動産業者、貴金属販売、などです。
「携帯電話不正利用防止法」が対象とするのは、携帯電話の契約です。

これによって、ネット銀行やネット証券など、オンラインの口座開設は、すべてマイナンバーカードが必要になります。
オンラインで携帯の契約を行う場合も、マイナンバーカードが必要になります。

都市銀行や大手携帯キャリアでもオンライン化を強化している現状を考えると、ほとんどの契約でマイナンバーカードが使われる(必要になる)可能性もあると思います。

非対面(オンライン等)の手続きは「原則一本化」
対面の場合は「公的個人認証による本人確認を進める」

ということで、対面の場合は曖昧な書き方になっていますが、対面でもマイナンバーカードが標準の本人確認書類になるかもしれません。(マイナンバーカードがない場合は必要な書類や手続きが増える等)

これはマイナンバーカードの実質義務化第2弾とも言えそうです。
政府はマイナンバーカードを持たない人・使わない人をどんどん不便な状況に追い込もうとしています。

 
また、これらの話は、4月に出てきた住所の一括変更の話にもつながります。

ITmedia NEWS(2023/4/25)
マイナカードで住所変更したら、銀行など金融機関にも一括反映  5月16日開始

マイナンバーカードの住所情報を変更すれば、その情報が金融機関などにも渡り、一括反映するサービスが5月16日に始まる。河野太郎デジタル相が4月25日の会見で発表した。
本人の同意に基づいて、マイナカードに登録した基本4情報と呼ばれる住所、氏名、生年月日、性別といった情報を民間企業に提供する。対象は銀行や証券、生命保険、損害保険を想定している。

一応「本人の同意に基づいて」となってはいますが、この制度と本人確認のマイナンバーカード一本化によって、銀行口座や携帯電話とマイナンバーカードの紐づけがさらに強化されることになります。

銀行口座や携帯電話などの顧客情報が常にマイナンバーカードと連動して最新化されるので、名寄せの精度が向上して、資産把握や行動把握の効率が各段に向上しそうです。

(参考)マイナンバーカードによる国民監視・管理の流れは止まらない

 
以前から予想されていたとは言え、いよいよ来たかという感じです。

マイナンバーカードの公的個人認証と、従来の本人確認書類(運転免許証など)との最大の違いは、その証明書の有効・無効を国に紐づいた1つの機関(J-LIS)が一括管理して、遠隔でほぼリアルタイムに変更できるという点だと思います。

政府の都合によって、いつでも、国民一人ひとりのマイナンバーカードの電子証明書の有効・無効を決めてしまうことが、技術的には簡単にできてしまいます。

もしかしたら、将来、
SNSで政権批判の意見を書いたとか、
〇〇党の党員だからとか、
ワクチンを接種していないとか、
そのような理由で電子証明書が無効にされてしまうかもしれません。

電子証明書が無効になってしまったら、銀行口座の開設も、携帯電話の契約もできなくなります。
医療機関の受診でも不利益があるかもしれません。

さらに、、
銀行口座からの引き出しができなくなるとか、
携帯電話の通話ができなくなるとか、
電車の改札を通過できなくなるとか、
商業施設に入場できなくなるとか、、、

 
データの登録ミスで、別人の情報によって電子証明書が無効にされてしまう可能性も考えられます。

なりすましによって、何者かが他人の電子証明書を勝手に無効にする事件が起きるかもしれません。

最近のマイナカードにまつわるトラブルや政府の対応を見ていると、このままでは、ちょっと危険な状況になりそうな感じがします。

ブレーキをかけた方がよさそうな気がします・・